【医療ニュースPickUp 2016年9月14日】医療機関のウェブサイト 過大・虚偽表示を監視へ 厚生労働省
2016年9月7日、厚生労働省は発足から第4回目となる「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を開催した。
この検討会は、2016年3月に発足したが、その前身は「「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」である。昨今、特に美容医療の分野において、サービスに関する情報提供を契機として消費者トラブルが発生する問題が指摘されていること、等が契機となっている。
厚労省は「監視・是正体制の強化と規制の周知・遵守の徹底」
医療機関のウェブサイトに掲載可能な情報については、複数の法律等によって規制がなされている。
- 医療法、医療法施行令、医療法施行規則
- 医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項
- 医療広告ガイドライン及び医療機関ホームページガイドライン
しかし、消費者庁に寄せられる美容医療に関する相談は、年々、増加傾向にあり、「強引に勧められ契約をしたが、解約したい」といった契約・解約等に関する相談や、顔の腫れや炎症等の皮膚障害や熱傷など危害を受けたという相談も寄せられているという。2012年現在で、年間およそ2,000件に及ぶ。
こういった事態を受け、厚生労働省は平成19年に「医療機関ホームページガイドライン」などを公表している。
しかしながら、それ以降も消費者庁に寄せられる同様のトラブルに関する相談は増加していることから、医療機関のウェブサイトにおける情報提供の適正化を図る必要があるとして、医療機関のウェブサイトに対し、是正命令や命令に違反した場合の措置等を設けることにより医療機関に対する指導監督の実効性が確保されるよう、法令の改正に向けた検討を行うことが求められていた。
厚生労働省では今回、「監視・是正体制の強化、規制の周知・遵守の徹底」として、都道府県・保健所設置市・特別区において円滑に規制を執行できるよう、新たな規制の内容や具体的な違反事例等をガイドライン等において明確化する、としている。
また、実際に医療機関のウェブサイトをチェックする機構として、国民・患者等から提供された不適切なウェブサイト等に関する情報等だけではなく、外部委託による「ネットパトロール事業」を実施するとしている。
参考資料
厚生労働省 第4回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会
資料1 医療機関のウェブサイト等の取扱いについて(とりまとめ(案))
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135973.pdf
同上 資料2
医療機能情報提供制度の報告項目の改正について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135971.pdf
同上 参考資料1
医業等に係るウェブサイトの監視体制強化(イメージ)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135928.pdf
同上 参考資料2
消費者、患者向け注意喚起資料(案)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000135934.html
同上 参考資料3
医療機能情報提供制度について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135930.pdf
厚生労働省 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf
同上 医療機関ホームページガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/dl/hp_guideline.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
今さらながらですが、病院のウェブサイトって、何を書いても良いわけでは無いのですね。大病院からクリニックまで、疾患に関する情報、治療法に関する情報など、私自身も良く参考にさせて頂いています。
しかし、美容医療のウェブサイトって、見る機会が少ないように感じたので、いくつかの美容医療に関するウェブサイトを見てみました。施術ごとに、結構細かい金額が出ているところがいくつかありました。ただ、術前・術後の比較は、ほとんど見なかったように感じます。
どこでも共通しているのが「アフターケア(アウターフォロー)の充実」といった内容です。具体的にはありませんが、医師やメディカルスタッフによるフォローをしますよ、ということなのでしょうか。
今回の対象は、やはり美容医療の分野がもっとも多いのだと思いますが、一般的なクリニック等では、どうなのでしょうか。
一応、病院のウェブサイトに記述できる事柄は、ある程度決まっていますので、それ以外の疾患や治療法に関する情報は、どこまで書いても良いものなのか、これ以上はダメという線引きが、もう少し詳しく指定される方が良いのか、「自主性」に任せる方が良いのか、考え方が分かれる所なのかと思います。
しかし、今回の厚生労働省が公表した内容ですが、外部委託による「ネットパトロール事業」ってスゴイですね。ひたすら毎日、医療機関のウェブサイトを見ながら、「これは過大広告?」を判定する人が存在することになります。
また、現在は民間による同様のサービスもありますが、都道府県ごとに「医療機能情報提供制度」なるものがあり、受けたい診療の内容から、医療機関を検索できるサービスが、都道府県ごとに存在しているようです。
これも(民間のサービスの方が先でしたが)、正しい情報を国民に届ける、という施策の1つなのでしょうか。
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