シリーズ医師の年収と未来:「糖尿病内科医」編

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シリーズ医師の年収と未来:「糖尿病内科医」編

糖尿病内科医の現状(厚労省医師数調査から)

診療科別の医師数は、順位は中間だが急増中

厚生労働省の調査によると2014年の糖尿病内科医の人数は4,446人で、全40科中20位とちょうど中間に位置しています。糖尿病内科医が統計に登場したのは2008年からなのでこの年と比較すると、2014年までの6年間に1,492人増え、増加率は50.5%です。

全医師数は、2008年の271,897人から2014年の296,845人へと9.18%しか増えていませんので、糖尿病内科医は「急増している」といえます。

医師数 2008年 2014年 増加率
糖尿病内科医 2,954人(20位) 4,446人(20位) 1,492人(50.5%)
医師全体 271,897人 296,845人 24,948人(9.18%)
一般内科医 62,845人(1位) 61,317人(1位) -1,528人(-2.4%)

一般内科医が糖尿病内科医に標榜変えをした?

糖尿病内科医が全医師の増加率を上回る速さで増えているということは、「別の診療科からの移動が多い」と推測できます。

大きな出所は一般内科医のようで、2008年の62,845人から2014年の61,317人へと、1,528人減っています。見事なくらい、糖尿病内科医の増加数と一般内科医の減少数が一致するのです。

当然、両科は治療の親和性が高いので、一般内科医が糖尿病内科医に標榜変えを行ったとみるのが自然でしょう。

般内科からの流入の影響は平均年齢にも

糖尿病内科医の平均年齢は、2008年の42.8歳から2014年の44.1歳へと1.3歳「高齢化」しています。
全医師の平均年齢は同期間で1.0歳しか上昇していないので、糖尿病内科医の高齢化スピードは「やや速い」といえます。
また若さランキングは、8位から11位に落ちています。

一般内科医は平均年齢が高い診療科ですので、一般内科医から標榜変えする医師が多い糖尿病内科医の平均年齢が上がるのは、これも自然の流れといえそうです。

平均年齢 2008年(若さ順位) 2014年(若さ順位) 高齢化
糖尿病内科医 42.8歳(8位) 44.1歳(11位) 1.3歳上昇
医師全体 48.3歳 49.3歳 1.0歳上昇
一般内科医 55.7歳(38位) 57.6歳(39位) 1.9歳上昇

全体の診療所医離れが進む中で独立開業への意欲は高そう

糖尿病内科医のうち診療所に勤める医師は、2014年では740人で全糖尿病内科医の16.6%でした。

病院に勤める糖尿病内科医は3,706人で83.4%です。
この数字だけ見ると「ほとんどの糖尿病内科医は病院に勤めている」と感じるかもしれませんが、病院医の多さランキングでは21位とほぼ中間に位置しています。

2008年の数字を見ると、診療所に勤める糖尿病内科医は14.4%ですので、6年間で2.2ポイントも診療所医の割合が上昇しました。

全医師でみると、診療所医の割合は2008年の35.9%から34.3%へと、逆に低下しています。このことから「糖尿病内科医の独立開業マインドは相対的に高まっている」といえそうです。

2008年 2014年
病院 診療所 病院 診療所
糖尿病内科医 2,529人
(85.6%)
425人
(14.4%)★
3,706人
(83.4%)
740人
(16.6%)★
全医師 174,266人
(64.1%)
97,631人
(35.9%)
194,961人
(65.7%)
101,884人
(34.3%)

糖尿病内科医の求人票ひろい読み

え!年収650万円!? 2極分化がくっきり

医師求人サイトの「リクルートドクターズキャリア」には、糖尿病内科医の求人が287件掲載されています(2016年11月時点)。
これを閲覧すると、年収の傾向が2極分化していることが分かります。

札幌市は医師の人気が高い都市ですが、それでも「100床以上の病院」「二次救急あり」「週5日勤務」と、決して年収が安くなる要素が見付からないのに「650万円~」としか提示していない求人票がありました。

一方で「2,400万円」「2,500万円」という魅力的な数字も珍しくありません。

地域
病院or診療所
年収 業務内容 当直 勤務/休み
★札幌市
病院(100床以上、二次救急)
650万円~ 記載なし 記載なし 週5日勤務
北海道帯広市
病院
1,800万~2,400万円 外来、病棟 月4~8回 週4~5日勤務年120日休み
東京都町田市
病院
1,600万~1,800万円 外来、病棟 月0~4回 週5日勤務専門医優遇
★東京都大田区
病院
1,000万~1,600万円 外来、病棟 月2~3回 週5日勤務指導医歓迎
兵庫県姫路市
病院(100床以上、二次救急)
1,800万~2,500万円 外来、病棟 月1~2回 週4.5~5日勤務
大阪市港区
療養病院
728万~1,414万円 記載なし 記載なし 週5.5日勤務
★大阪府八尾市
病院
798万~2,000万円 外来、病棟 月4~6回 週5日勤務

専門性を高めると年収アップが期待できる?

注目したいのは、「指導医歓迎」とうたう東京都大田区の病院の求人票です。

年収の提示額は1,000万~1,600万円と600万円もの開きがあり、「指導医資格がないと1,000万円になるかもしれが、保有していると1,600万円も可能」と読み取れます。

またここでは「指導医を求める」といった記載はないのですが、大阪府八尾市の病院は798万~2,000万円という提示をしていて、下限と上限では2.5倍も差があります。

こうしたことから、糖尿病内科医を求める病院は、医師の専門知識を厳しく査定しているといえそうです。

「糖尿病のカリスマ医による治療」は病院の看板になるので、「経営への貢献度」=「年収アップ」という構図になるのでしょう。

最新トピックス「糖尿病を予防したければ歯医者へ行け」

日本経済新聞が2016年11月、「糖尿病を予防したければ歯医者へ行け」というタイトルの興味深い記事を掲載しました。

糖尿病専門医と歯科医の対談で、「糖尿病の発症に歯周病が関係していることに対する内科医の意識は低い」「患者に情報が行き渡っていない」などと書かれています。

内科医の先生にとっては耳が痛い話かもしれません

またこの記事を読むと、「糖尿病内科分野では、病院、診療所、歯科医院の三位一体連携が築けるかもしれない」という期待が膨らみます。

京大の糖尿病研究ですら歯周病は置いてきぼり

対談しているのは、糖尿病専門医で開業医の西田亙氏と、開業歯科医の森昭氏です。

日本経済新聞が西田氏に焦点を当てたのは、氏が「病=診=歯連携」をテーマにしたセミナーを全国で開いているからです。

また森氏は「体の不調は『唾液』を増やして解消する」(PHP研究所)を著すなど、口腔ケアと全身の健康の関係に詳しい歯科医です。

西田氏と森氏は「糖尿病といえば腎不全、網膜症、神経症の3大合併症ばかりが注目され、『もうひとつの合併症』である歯周病はほとんど見向きされてこなかった」と訴えます。

この主張を「裏付ける」というわけではないのですが、例えば京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科のサイトには「糖尿病で恐いのは合併症です」というページがあるのですが、ここには「歯周病」という文字も「歯」も現れません。

載っているのは3大合併症のことです。

つまり、最先端の糖尿病研究では、やはり歯周病は置いてきぼりになっているのです。

糖尿病専門医が自分の体で証明

糖尿病専門医の西田氏はとてもユニークで、自身で歯周病を治療して、自身の糖尿病予防を成功させました。

西田氏は以前、体重92kgの糖尿病予備軍だったそうです。その上、固い物を齧ると歯茎から血が出るほどの重度の歯周病をもっていました。

西田氏はある日、歯科医師会から共同研究を持ちかけられ、その縁で「糖尿病と歯周病」をテーマに講演をしました。

そのことをきっかけにして歯周病治療に取り掛かり、定期的に歯科クリニックで歯石を取り除き、自宅ではフロスによる口腔ケアを念入りに行いました。

歯を清潔に保つと「歯を汚したくない」と思うようになり、自然と間食が止まったそうです。

そうなると体調が良くなり、スポーツに精を出すようになり、体重は18kg減の74kgに。

血糖値もいつの間にか正常値になっていたのです。

「1本の川の流れ」に気付かなかった

歯周病治療が糖尿病予防になる一方で、糖尿病治療が歯周病予防になることも分かっています。

これは心腎連関と似ています。

糖尿病も歯周病も「単体」としては国民的な関心事であるのに、なぜ「糖尿病と歯周病」と「一体化」してしまうと、世の中にほとんど知られなくなってしまうのでしょうか。

西田、森両氏の話を総合すると、内科医は歯への関心が薄く、歯科医は糖尿病への関心が薄いからです。

歯周病を発症すると歯茎から炎症ホルモンが分泌され、この炎症ホルモンが歯周病の傷口から血液に入る――ということは、歯科医は知っています。

また、血液中の炎症ホルモンが増えるとインスリンの働きが弱まり、糖尿病が発症する――ということは、内科医が知っています。

しかし「歯周病→炎症ホルモン→血液への侵入→インスリンの弱体化→糖尿病」という「1本の川の流れ」の把握は、内科医も歯科医も苦手だというのです。

連携強化で集患力向上

さて、このことを報道したのは、日本経済新聞であることは述べた通りです。記事には「いかにも日経らしい」部分もあります。

日経の記者が、糖尿病専門医の西田氏に「歯周病の治療が進んでしまうと、糖尿病のお客さんが少なくなって困るのでは?」と水を向けると、西田氏は「2200万人も患者がいるから大丈夫。

それに歯科医から糖尿病の疑わしい患者を紹介してもらえるので、売り上げアップにつながる金鉱です」と返しています。

なんとも当意即妙な会話に思えました。


参考資料

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2014年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/index.html

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2008年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/08/index.html

●リクルートドクターズキャリア
https://www.recruit-dc.co.jp/jokin/search/

●日本経済新聞「糖尿病を予防したければ歯医者へ行け、医科・歯科連携、2氏に聞く」(2016/11/14)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09284520Y6A101C1000000/?n_cid=MELMG002

●京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科「糖尿病で恐いのは合併症」です
http://metab-kyoto-u.jp/to_patient/online/a007.html

The following two tabs change content below.
野村龍一

野村龍一

某医師紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。
当研究所が成績優秀コンサルタントを先生のご担当へとブッキング

2017年5月常勤転職 初心者向け登録推奨Top3社=当研究所が成績優秀コンサルタントを先生のご担当へとブッキング

数ある医師転職支援会社への登録に迷ったら…まずはこのTop3社だけまとめて登録すれば失敗の確率はグンと下がります。常勤転職、非常勤アルバイト転職の2パターンでそれぞれの初心者にオススメ登録先(有力企業のみを厳選、且つ、成績優秀コンサルを担当につけるよう当方がアレンジできる企業)をパッケージングしてみました(2016年度最新データに基いて分析)。

野村龍一

医師紹介会社研究所 所長 野村龍一のアドバイス

下記の推薦企業は、当研究所所長が先方企業を直接訪問した上で「誠実で親身に医師に寄り添う姿勢」「強引な転職などを誘因しない姿勢」「医療機関から高い信頼を得ている証左」を確認済みの紹介会社です。 各企業上層部には、「当会社研究所サイト経由で登録した医師」に対し、「通常登録の方よりも手厚いサポート」と「社内でも特に優秀なコンサルタントを担当につけていただくこと」をお約束頂いております。 



 ★登録無料、すぐ転職しなくても情報収集目的のみで『お試し登録可能』、匿名転職サポート可能、ヘッドハント有り、6000ヶ所以上の医療機関や大学との取引あり、医局の退職事例多数、コンサルタントレベル高し★ 

医師会員21万人を誇るソニーグループ運営の医師ポータルサイト「m3.com」グループ会社。一般人材紹介企業と異なり、医師に特化した上でこの事業規模の大きさを誇るため、好条件の求人情報の収集力がずば抜けている印象がある。当然、所属医師コンサルやエージェントの数も多く、個別の医師に対して「相性のあったパートナー」が探しやすいと言える。年収2500万以上、週4日で年収2200万といった高額条件の案件を多数保有しつつ、個別医師のライフスタイルや家族都合などを考慮した勤務条件を引き出す力にも非常に長けており、自ら医療機関と交渉して好条件求人を創り出すことが可能な企業。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力




 ★登録無料、匿名転職サポート可能、産業医に強み★ 

新興勢力の医師紹介会社の中では最も勢いのある企業です。東京の常勤転職に非常に強みを持っており、同エリアで常勤転職希望に該当する医師は是非とも1度相談をする価値があるでしょう。また、年収1800万円以上の高収入求人や、産業医にも力を入れていることが調査でわかっております。組織規模はまだまだこれからといったところですが、実力派の個性あるコンサルタントが揃っているところから、属人的能力の強い医師紹介会社の1つです。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力




 ★業界トップレベルの圧倒的な求人数と非公開求人の充実が売り★ 

医師転職ドットコムを運営する株式会社メディウェルは、医師紹介業界のリーディングカンパニー1角を占めている著名企業です。医師転職ドットコムの最も大きな売りは、他社を凌駕する圧倒的な求人情報数といえます。求人カバレッジエリアも日本全国に及んでおり、非常勤/スポット求人を求める医師のどのようなニーズにも一定以上の回答を用意することができる、数少ない企業の1つといえます。医師紹介会社にまよったら、まずとりあえずは同社に登録をしておくことが、好条件求人を見過ごさないためのポイントとなるでしょう。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力




 ★登録無料、常勤オーダーメイドとアフターケア重視★ 

2011年創業にも関わらず、一気に事業展開を加速させて業界を驚かせている新興企業の1社です。大手医師紹介会社のベテランコンサルタントが集結して立ち上がった企業であり、特徴としては常勤転職へのオーダーメイド求人クリエイト、転職後のアフターフォローの徹底等があげられます。新興企業ですが、担当となるスタッフはベテランが多いため、初めて転職をする医師でも安心して業務を委託できるのが心強いです。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力



 ★登録無料、情報収集目的のみでお試し登録可能、業歴10年以上★ 

業界歴10年、全国10拠点展開の老舗企業エムステージ(旧メディカルステージ)では、賞味期限の維持管理を徹底された保有求人数6000件以上を誇示する、常勤転職の「Dr.転職なび」に加えて、医師のニーズやご意向を中心に求人を組み立てて創りだすオーダーメイド型の求人サイト「AgentxMedicalStage」等を新たに展開。実際の業務量がわかる求人票の作成へのこだわりや、コンサルタント全員が医療経営士資格取得者として、能力担保を対外的に明示した転職サポーティング体制を打ち出している、高評価の医師転職支援会社です。

企業格付け評価を見る企業サイトを直接見る

対医療機関交渉力 高条件求人情報収集力 専門人材紹介業総合力

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

2017年5月版 常勤転職 =初心者向け登録推奨TOP3社

2017年5月版 非常勤/スポット =初心者向け登録推奨TOP3社

無料レポート「医師紹介会社 こんな担当者に注意せよ」配布中

当サイトの「登録」リンクから医師求人転職支援会社にご登録を頂いた方に、私、野村龍一がこっそりご登録者様だけに教える秘密レポート「医師紹介会社、こんなコンサル担当者に注意せよ!」(PDFファイル、約50頁、9,800円相当)を無料でご提供しております。