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糖尿病内科医の現状(厚労省医師数調査から)

糖尿病内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

■ 記事作成日 2016/11/21 ■ 最終更新日 2017/12/6

診療科別の医師数は、順位は中間だが急増中

 

厚生労働省の調査によると2014年の糖尿病内科医の人数は4,446人で、全40科中20位とちょうど中間に位置しています。糖尿病内科医が統計に登場したのは2008年からなのでこの年と比較すると、2014年までの6年間に1,492人増え、増加率は50.5%です。

 

全医師数は、2008年の271,897人から2014年の296,845人へと9.18%しか増えていませんので、糖尿病内科医は「急増している」といえます。

 

医師数 2008年 2014年 増加率
糖尿病内科医 2,954人(20位) 4,446人(20位) 1,492人(50.5%)
医師全体 271,897人 296,845人 24,948人(9.18%)
一般内科医 62,845人(1位) 61,317人(1位) -1,528人(-2.4%)

 

一般内科医が糖尿病内科医に標榜変えをした?

 

糖尿病内科医が全医師の増加率を上回る速さで増えているということは、「別の診療科からの移動が多い」と推測できます。

 

大きな出所は一般内科医のようで、2008年の62,845人から2014年の61,317人へと、1,528人減っています。見事なくらい、糖尿病内科医の増加数と一般内科医の減少数が一致するのです。

 

当然、両科は治療の親和性が高いので、一般内科医が糖尿病内科医に標榜変えを行ったとみるのが自然でしょう。

 

般内科からの流入の影響は平均年齢にも

 

糖尿病内科医の平均年齢は、2008年の42.8歳から2014年の44.1歳へと1.3歳「高齢化」しています。
全医師の平均年齢は同期間で1.0歳しか上昇していないので、糖尿病内科医の高齢化スピードは「やや速い」といえます。
また若さランキングは、8位から11位に落ちています。

 

一般内科医は平均年齢が高い診療科ですので、一般内科医から標榜変えする医師が多い糖尿病内科医の平均年齢が上がるのは、これも自然の流れといえそうです。

 

平均年齢 2008年(若さ順位) 2014年(若さ順位) 高齢化
糖尿病内科医 42.8歳(8位) 44.1歳(11位) 1.3歳上昇
医師全体 48.3歳 49.3歳 1.0歳上昇
一般内科医 55.7歳(38位) 57.6歳(39位) 1.9歳上昇

 

全体の診療所医離れが進む中で独立開業への意欲は高そう

 

糖尿病内科医のうち診療所に勤める医師は、2014年では740人で全糖尿病内科医の16.6%でした。

 

病院に勤める糖尿病内科医は3,706人で83.4%です。
この数字だけ見ると「ほとんどの糖尿病内科医は病院に勤めている」と感じるかもしれませんが、病院医の多さランキングでは21位とほぼ中間に位置しています。

 

2008年の数字を見ると、診療所に勤める糖尿病内科医は14.4%ですので、6年間で2.2ポイントも診療所医の割合が上昇しました。

 

全医師でみると、診療所医の割合は2008年の35.9%から34.3%へと、逆に低下しています。このことから「糖尿病内科医の独立開業マインドは相対的に高まっている」といえそうです。

 

 

2008年

2014年

  病院 診療所 病院 診療所
糖尿病内科医 2,529人

(85.6%)

425人

(14.4%)★

3,706人

(83.4%)

740人

(16.6%)★

全医師 174,266人

(64.1%)

97,631人

(35.9%)

194,961人

(65.7%)

101,884人

(34.3%)


糖尿病内科医の求人票ひろい読み

糖尿病内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

え!年収650万円!? 2極分化がくっきり

 

医師求人サイトの「リクルートドクターズキャリア」には、糖尿病内科医の求人が287件掲載されています(2016年11月時点)。
これを閲覧すると、年収の傾向が2極分化していることが分かります。

 

札幌市は医師の人気が高い都市ですが、それでも「100床以上の病院」「二次救急あり」「週5日勤務」と、決して年収が安くなる要素が見付からないのに「650万円~」としか提示していない求人票がありました。

 

一方で「2,400万円」「2,500万円」という魅力的な数字も珍しくありません。

 

地域
病院or診療所

年収 業務内容 当直 勤務/休み

★札幌市
病院(100床以上、二次救急)

650万円~ 記載なし 記載なし 週5日勤務

北海道帯広市
病院

1,800万~2,400万円 外来、病棟 月4~8回 週4~5日勤務

年120日休み

東京都町田市
病院

1,600万~1,800万円 外来、病棟 月0~4回 週5日勤務

専門医優遇

★東京都大田区
病院

1,000万~1,600万円 外来、病棟 月2~3回 週5日勤務

指導医歓迎

兵庫県姫路市
病院(100床以上、二次救急)

1,800万~2,500万円 外来、病棟 月1~2回 週4.5~5日勤務

大阪市港区
療養病院

728万~1,414万円 記載なし 記載なし 週5.5日勤務

★大阪府八尾市
病院

798万~2,000万円 外来、病棟 月4~6回 週5日勤務

 

専門性を高めると年収アップが期待できる?

 

注目したいのは、「指導医歓迎」とうたう東京都大田区の病院の求人票です。

 

年収の提示額は1,000万~1,600万円と600万円もの開きがあり、「指導医資格がないと1,000万円になるかもしれが、保有していると1,600万円も可能」と読み取れます。

 

またここでは「指導医を求める」といった記載はないのですが、大阪府八尾市の病院は798万~2,000万円という提示をしていて、下限と上限では2.5倍も差があります。

 

こうしたことから、糖尿病内科医を求める病院は、医師の専門知識を厳しく査定しているといえそうです。

 

「糖尿病のカリスマ医による治療」は病院の看板になるので、「経営への貢献度」=「年収アップ」という構図になるのでしょう。


最新トピックス「糖尿病を予防したければ歯医者へ行け」

糖尿病内科医師の年収・収入・将来性と転職条件

 

日本経済新聞が2016年11月、「糖尿病を予防したければ歯医者へ行け」というタイトルの興味深い記事を掲載しました。

 

糖尿病専門医と歯科医の対談で、「糖尿病の発症に歯周病が関係していることに対する内科医の意識は低い」「患者に情報が行き渡っていない」などと書かれています。

 

内科医の先生にとっては耳が痛い話かもしれません

 

またこの記事を読むと、「糖尿病内科分野では、病院、診療所、歯科医院の三位一体連携が築けるかもしれない」という期待が膨らみます。

 

京大の糖尿病研究ですら歯周病は置いてきぼり

 

対談しているのは、糖尿病専門医で開業医の西田亙氏と、開業歯科医の森昭氏です。

 

日本経済新聞が西田氏に焦点を当てたのは、氏が「病=診=歯連携」をテーマにしたセミナーを全国で開いているからです。

 

また森氏は「体の不調は『唾液』を増やして解消する」(PHP研究所)を著すなど、口腔ケアと全身の健康の関係に詳しい歯科医です。

 

西田氏と森氏は「糖尿病といえば腎不全、網膜症、神経症の3大合併症ばかりが注目され、『もうひとつの合併症』である歯周病はほとんど見向きされてこなかった」と訴えます。

 

この主張を「裏付ける」というわけではないのですが、例えば京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科のサイトには「糖尿病で恐いのは合併症です」というページがあるのですが、ここには「歯周病」という文字も「歯」も現れません。

 

載っているのは3大合併症のことです。

つまり、最先端の糖尿病研究では、やはり歯周病は置いてきぼりになっているのです。

 

糖尿病専門医が自分の体で証明

 

糖尿病専門医の西田氏はとてもユニークで、自身で歯周病を治療して、自身の糖尿病予防を成功させました。

 

西田氏は以前、体重92kgの糖尿病予備軍だったそうです。その上、固い物を齧ると歯茎から血が出るほどの重度の歯周病をもっていました。

 

西田氏はある日、歯科医師会から共同研究を持ちかけられ、その縁で「糖尿病と歯周病」をテーマに講演をしました。

 

そのことをきっかけにして歯周病治療に取り掛かり、定期的に歯科クリニックで歯石を取り除き、自宅ではフロスによる口腔ケアを念入りに行いました。

 

歯を清潔に保つと「歯を汚したくない」と思うようになり、自然と間食が止まったそうです。

そうなると体調が良くなり、スポーツに精を出すようになり、体重は18kg減の74kgに。

血糖値もいつの間にか正常値になっていたのです。

 

「1本の川の流れ」に気付かなかった

 

歯周病治療が糖尿病予防になる一方で、糖尿病治療が歯周病予防になることも分かっています。

これは心腎連関と似ています。

 

糖尿病も歯周病も「単体」としては国民的な関心事であるのに、なぜ「糖尿病と歯周病」と「一体化」してしまうと、世の中にほとんど知られなくなってしまうのでしょうか。

 

西田、森両氏の話を総合すると、内科医は歯への関心が薄く、歯科医は糖尿病への関心が薄いからです。

 

歯周病を発症すると歯茎から炎症ホルモンが分泌され、この炎症ホルモンが歯周病の傷口から血液に入る――ということは、歯科医は知っています。

 

また、血液中の炎症ホルモンが増えるとインスリンの働きが弱まり、糖尿病が発症する――ということは、内科医が知っています。

 

しかし「歯周病→炎症ホルモン→血液への侵入→インスリンの弱体化→糖尿病」という「1本の川の流れ」の把握は、内科医も歯科医も苦手だというのです。

 

連携強化で集患力向上

 

さて、このことを報道したのは、日本経済新聞であることは述べた通りです。記事には「いかにも日経らしい」部分もあります。

 

日経の記者が、糖尿病専門医の西田氏に「歯周病の治療が進んでしまうと、糖尿病のお客さんが少なくなって困るのでは?」と水を向けると、西田氏は「2200万人も患者がいるから大丈夫。

それに歯科医から糖尿病の疑わしい患者を紹介してもらえるので、売り上げアップにつながる金鉱です」と返しています。

 

なんとも当意即妙な会話に思えました。

参考資料:

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2014年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/index.html

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2008年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/08/index.html

 

●リクルートドクターズキャリア
https://www.recruit-dc.co.jp/jokin/search/

 

●日本経済新聞「糖尿病を予防したければ歯医者へ行け、医科・歯科連携、2氏に聞く」(2016/11/14)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09284520Y6A101C1000000/?n_cid=MELMG002

 

●京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科「糖尿病で恐いのは合併症」です
http://metab-kyoto-u.jp/to_patient/online/a007.html

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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