放射線科医師の年収・収入・将来性と転職条件

放射線科医の現状(厚労省医師数調査から)

■ 記事作成日 2017/1/10 ■ 最終更新日 2016/1/10

放射線科医の年収、2000万円は困難か

 

医師専用求人サイト「リクルートドクターズキャリア」には、放射線科医の求人票が169件掲載されています(2016年12月現在)。この数字は「比較的求人数が多い診療科」といえます。

 

読影がメインだと1000万円が上限?

 

放射線科医の求人票を多数読み込んでいくと、放射線科医求人の特徴は「年収を2000万円代にのせるのはかなり至難の業ではないか」との予想ができます。

 

さいたま市の病院は、年収の上限として2400万円を提示していますが、これはかなり珍しいケースです。業務内容が特に示されていないことからも、これは「例外」と考えるべきでしょう。

 

放射線科医の求人票を概観すると、ある特徴が浮かび上がってきます。それは1.病院だと読影や画像診断がメイン業務になる、2.年収1000万円程度、3.年間休日120日程度、4.当直なしが目立つ、の4点です。

 

地域
病院or診療所

年収 業務内容 当直、勤務、休み

東京都港区
診療所

1000万円〜 画像診断(胸部80件/日、胃部40〜50件/日、CT30件/日、MRI2、3件/日、バリウム40〜50件、マンモグラフィ50〜60件) 当直なし、週4日勤務、年117日休

東京都板橋区
病院

850万〜

 900万円

読影のみ、放射線科診断専門医、画像診断(現在70〜75枚程/日 (MRI25枚程、CT50枚程)、一般撮影400〜500枚/月 (15枚程度/日)合計1日40枚程度対応件数を想定 年170日休

さいたま市
病院

1200万〜

 2400万円

特記事項なし 当直2〜4回/月、週5日勤務、年120日休

山形県鶴岡市
病院

山形県鶴岡市

病院

遅番(17:15〜23:00)有 当直有、年120日休

北海道函館市
病院

1000万〜

 2000万円

画像診断、約5700件/年 当直無、週5.5日勤務、年110日休

 

年収アップを狙うなら地方勤務が近道

 

放射線科医が年収2000万円を実現するには、地方に出るとよいでしょう。

 

山形県鶴岡市の病院は下限1600万円、上限2050万円を提示していて、これは「リクルートドクターズキャリア」内の他の診療科を見渡しても「良い方」といえます。

 

また、北海道函館市の病院も上限で2000万円を提示しています。

 

一般的に医師の年収は「地方に行くほど年収が上がる」という傾向がありますが、放射線科医ではそれがかなり顕著に出ています。

 

「日本放射線科専門医会・医会」の求人票ものぞいてみた

 

放射線科専門医たちでつくる一般社団法人「日本放射線専門医会・医会」は、ホームページ上に求人票を掲載しています。

 

民間の求人サイトとは一味違った内容ですので転載してみました。ただ、やはりこれを見ても「2000万円は難しい」という傾向は当てはまるようです。

 

地域
病院or診療所

年収 業務内容 当直、勤務、休み

東京都東大和市
東大和病院

10年目:1300万円

15年目:1520万円

1.CT/MRIの読影、2.IVR(血管系、非血管系、主として消化器疾患)は必須ではないが優遇 当直無

東京都
お茶の水駿河台クリニック

1800万円〜 1.卒後10年以上、2.放射線診断専門医、3.MRI,CT,内視鏡検査を主とした画像診断、4.他の医療機関から検査依頼を受注 週5日勤務

医療機器の進化で地位向上?放射線科医は人気上昇中

 

10年間で3割増! 放射線科医が注目されるワケとは

 

厚生労働省の医師数調査によると、2014年の放射線科医の人数は6,169人で、診療科別の医師数が多い順ランキングは、全40科中16位でした。全医師296,845人に占める割合は2.1%ながら、「国内で多い部類の診療科」といえるでしょう。

 

そして特筆すべきはその増加率です。医師全体の人数は2004年の256,668人から、2014年の296,845人へと、40,177人増、15.7%アップでした。

 

一方で、放射線科医の人数は同期間で1,389人増、29.1%アップでした。医師全体の増えるスピードをはるかに上回る速さで増加しています。

 

この人気の秘密はどこからくるのでしょう。

 

医師数 2004年(32科中順位) 2014年(40科中順位) 増加数(率)
放射線科医 4,780人(15位/32) 6,169人(16位/40) 1,389人(29.1%)
全医師合計 256,668人 296,845人 40,177人(15.7%)

 

医療機器の進化が活躍の場を増やした、診療報酬で優遇も

 

聖マリアンナ医科大・中島康雄教授(放射線医学)も「放射線科医になりたいという医師が増えている」とコメントしています。

 

中島教授によると、国内の医療では長らく、診断より治療が重視される時代が続いていました。つまり、診断を専門にする放射線科医はあまり目立たない存在だったということです。

 

しかし検査機器が進歩したことで、放射線科医が外科医に対し、適切な手術法をアドバイスできるようになったのです。こうした取り組みが実り「治療を支える診断」から「医療のベースを支える診断」へと、診断の重要性が増していったのです。

 

また国も、放射線科専門医を雇用する病院の診療報酬を増やすなど、「診断の強化」「放射線科医の地位向上」に力を入れているのです。


何故、放射線科医の開業希望者が増えているか?

 

病院でこそ活躍できる放射線科医だが、診療所医が増えているナゾ

 

2014年の放射線科医6,169人のうち、実に93.4%に当たる5,762人が病院に勤務する医師でした。すなわち、診療所に勤務する放射線科医は6.6%、407人しかいません。この結果に違和感をまったく覚えません。

 

治療の指針を与える放射線科医は病院でこそ活躍できるからです。

 

しかしここにも「異変」が起きていました。それは、放射線科医に占める診療所医の割合が、2004年から2014年までの10年で0.9ポイント上昇しているのです。「微増」ではありますが、全医師で見ると診療所医は減少傾向にあるので、これに逆行した動きを見せています。

 

診療所医≒独立開業と考えると、「なぜいま、放射線科医は開業したがるのか?」という疑問が浮かびます。

 

病院医・診療所医比 2004年 2014年 増減(増減率)
放射線科医数 4,780人(100%) 6,169人(100%) -
うち病院医数 4,509人(94.3%) 5,762人(93.4%) 0.9ポイント減
うち診療所医数 271人(5.7%) 407人(6.6%) 0.9ポイント増

 

病院医・診療所医比 2004年 2014年 増減(増減率)
全医数 256,668人(100%) 296,845人(100%) -
うち病院医数 163,683人(63.8%) 194,961人(65.7%) 1.9ポイント増
うち診療所医数 92,985人(36.2%) 101,884人(34.3%) 1.9ポイント減

 

がん治療に特化することで「クリニックでできること」を増やす

 

放射線科医の開業マインドの上昇にも、医療機器の進化が関わっていそうです。

 

東京都江東区のある放射線クリニックはホームページで「がんの種類によっては、外科手術よりも放射線治療の方が効果的な場合がある」とPRしています。かなり刺激的なコピーです。

 

このクリニックでは「肺がんの体幹部定位放射線治療」を行っています。この治療機器は、3次元的に多方向から放射線を当てることができ、治療効果を上げているとのことです。

 

さらに、がんの根治ではなく、骨転移への痛みを軽減するための放射線治療も行っています。「手術以外にできること」を最大限増やし、患者の信頼を獲得しているのでしょう。

 

さらに別の放射線クリニックは、化学療法と放射線を併用した治療をアピールしています。

 

がん治療では、手術後に放射線治療を開始することもあるので、手術を多く行っている病院と連携することで、放射線クリニックが増患することは十分可能です。


高齢化のスピードは医師全体を上回る速さ

 

診療科別の若さランキングでも40科中16位と「若い医師」の部類に入ります。

 

しかし医師全体の平均年齢が2004年の47.8歳から2014年の49.3歳と、10年間で1.5歳しか上昇していないのに、同期間の放射線科医の年齢上昇は3.6歳でした。放射線科医の高齢化スピードはかなり速いといえるでしょう。

 

平均年齢 2004年(若さ順位) 2014年(若さ順位) 増減
放射線科医 41.8歳(6位/32) 45.4歳(16位/40) 3.6歳
全医師 47.8歳 49.3歳 1.5歳

 

参考資料:

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2014年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/dl/kekka_1.pdf

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2004年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/index.html

 

●リクルートドクターズキャリア
https://www.recruit-dc.co.jp/jokin/search/

 

●「求人のご案内」(日本放射線科専門医会・医会)
http://www.jcr.or.jp/qjin/qjin.html

 

●「画像診断にIT活用」(日本経済新聞、2012年4月27日)
http://style.nikkei.com/article/DGXDZO40799930W2A420C1NNSP01?page=3

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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循環器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年末時点の循環器内科医の人数は11,992人で、40科中9番目に多い数です。ただ、全医師に占める循環器内科医の割合は4.0%と「9位の割に占有率が低い」と感じるかもしれませんが、1位の一般内科医数が61,317人(20.7%)と、2位以下を大きく引き離しているからです。
呼吸器内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省は診療科別の医師数を公表していて、データからは「その科の現状」がみえてきます。呼吸器内科医のいまをみてみましょう。
腎臓内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の腎臓内科医の人数は3,929人でした。国内の医師総数は296,845人ですので腎臓内科医は1.3%となります。少ないように感じるかもしれませんが、40の診療科のうち21番目に多い数です。
消化器外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の消化器外科医の人数は4,934人で、全40科中18位と、ほぼ中間に位置しています。消化器内科医は13,805人(7位)ですので、消化器でも「内高外低」が顕著です。
心臓血管外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の心臓血管外科医の人数は3,048人で、全40科中22位と、ほぼ中間に位置しています。循環器内科医が11,992人、9位ですので、循環器領域でも「内高外低」の傾向は顕著です。
脳神経外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の脳神経外科医の人数は7,147人で、全医師数296,845人に占める割合は2.4%でした。「少ない」と感じるかもしれませんが、40科中14番目に多い数です。
糖尿病内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の糖尿病内科医の人数は4,446人で、全40科中20位とちょうど中間に位置しています。糖尿病内科医が統計に登場したのは2008年からなのでこの年と比較すると、2014年までの6年間に1,492人増え、増加率は50.5%です。
呼吸器外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の呼吸器外科医の人数は1,772人で、全40科中28位と「医師の数が少なめの診療科」といえます。一方で、呼吸器内科医の人数は5,555人、17位と、この分野でも「内高外低」の傾向は顕著でした。
乳腺外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の乳腺外科医の人数は1,622人で、全40科中30位と「医師が少なめの診療科」といえます。2008年の乳腺外科医の数は913人(31位)でしたので、2014年までの6年間で709人増、77.7%アップ、1.8倍になっています。
産婦人科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省は、産婦人科、婦人科、産科の3科に分けて統計を取っています。2014年の医師数と、全40科中の医師数ランキングでは、産婦人科医10,575人(10位)、婦人科医1,803人(27位)、産科医510人(35位)となっていて、圧倒的に「産科も婦人科もどちらも標榜する産婦人科医が多い」ことが分かります。
耳鼻咽喉科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の耳鼻咽喉科医の人数は9,211人でした。医師の多さランキングでは全40科中11位ですので「国内に多くいる医師」といえます。全医師296,845人に占める割合は3.1%でした。
肛門外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の肛門外科医の人数は432人でした。医師の多さランキングでは全40科中38位ですので「かなり少ない医師」といえます。全医師数296,845人に占める割合は0.15%にすぎません。
泌尿器科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の泌尿器科医の人数は6,837人で、全40科中15位と、「国内では比較的多い医者」という位置づけです。増加率をみると、2004年の6,032人から10年間で805人増え、増加率は13.3%でした。
人工透析医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の統計には「人工透析医」という項目がないので、ここでは人工透析医療に携わることが多い「腎臓内科医」と「泌尿器科医」についてみてみます。
麻酔科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の麻酔科医の人数は8,625人でした。医師の多さランキングでは全40科中13位ですので「国内に多くいる医師」の部類に属します。全医師296,845人に占める割合は2.9%でした。
神経内科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると、2014年の神経内科医の人数は4,657人で、40ある診療科の中で19番目に多い数でした。ほぼ中間に位置する「多くも少なくもない診療科」といえるのですが、特筆すべきはその増え方です。
一般外科医師の年収・収入・将来性と転職条件
厚生労働省の調査によると2014年の一般外科医の人数は15,383人でした。医師の多さランキングでは全40科中4位で、全医師296,845人に占める割合は5.2%でした。

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