シリーズ医師の年収と未来:「神経内科医」編

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シリーズ医師の年収と未来:「神経内科医」編  

神経内科医師の現状(厚労省医師数調査から)

■ 記事作成日 2017/3/20 ■ 最終更新日 2016/3/20

神経内科医が急増、10年で3割強アップ

 

厚生労働省の調査によると、2014年の神経内科医の人数は4,657人で、40ある診療科の中で19番目に多い数でした。ほぼ中間に位置する「多くも少なくもない診療科」といえるのですが、特筆すべきはその増え方です。

 

2004年の神経内科医の人数は3,458人でしたので、この10年間で1,199人増、34.7%もアップしたのです。医師全体が2004年の256,668人から2014年の296,845人へと15.7%しか増えていないので「3割強アップ」は急増といってもいいでしょう。

 

医師数 2004年(多い順) 2014年(多い順) 増加数(率)
神経内科医 3,458人(16/32位) 4,657人(19/40位) 1,199人(34.7%)
医師全体 256,668人 296,845人 40,177人(15.7%)

 

脳血管疾患は減っているのになぜ?

 

神経内科医は急増しているのですが、神経内科領域の病気である脳梗塞などの脳血管疾患は減少傾向にあります。脳梗塞の年間死亡者数は、2011年から2015年までの4年間でおよそ1割強減り、脳血管疾患の患者数は2011年から2014年までに4.5%減っています。

 

患者が減っているのに、なぜ神経内科医が増えているのでしょうか。つまり、需要が減っているのに、なぜ供給量が増えているのでしょうか。

 

脳梗塞の年間死亡者数 2011年 2015年

8,750人減
11.9%減

7万3273人 6万4523人
脳血管疾患の総患者数 2011年 2015年

5万6,000人減
4.5%減

123万5000人 117万9000人

 

医学の進歩が脳梗塞の脅威を減らした

 

脳血管疾患と神経内科医数の関係は、単純な需要と供給の関係では説明できないことが分かります。次の数字は、脳血管疾患の治療にかかる医療費の推移です。

 

脳血管疾患の年間医療費 2011年 2014年

2,308億円増
14.9%減

1兆5513億円 1兆7821億円

 

2011年度に1兆5513億円だった脳血管疾患の年間医療費は、2014年度までの3年間に約15%も増えているのです。つまり、医者が増え、手厚い治療を行ったことで、脳血管疾患という脅威が減ったことになります。

 

日本成人病予防協会は、脳血管疾患の改善傾向は「医学技術の進歩」であると述べていますが、それは数字の上でも証明されているのです。「脳神経領域の医師の勝利」と言ってもいいでしょう。

 

神経内科医の「高齢化」は速い

 

ある領域の医師が増えた結果、その領域の重大な病気が改善することは喜ばしいことですが、神経内科の場合、手放しで喜べない事情もあります。それは神経内科医の「高齢化」のスピードが速いことです。

 

神経内科医の平均年齢は、2004年は42.1歳で32科中7位と「かなり若い」医師たちでしたが、2014年には45.4歳、40科中17位と「やや若い」医師になりました。
この10年間で3.3歳高齢化したわけですが、医師全体が同期間に1.5歳しか上がっていないことと比較すると速さが際立ちます。

 

平均年齢 2004年(若さ順) 2014年(若さ順)
神経内科医 42.1歳(7位/32) 45.4歳(17位/40) 3.3歳
医師全体 47.8歳 49.3歳 1.5歳

 

そして、医師数が急増しているのに平均年齢が上がっているということは、

 

  • 神経内科医を志望する新人医師が少ない
  • ベテラン医師が転科して神経内科医になる

 

という2つの傾向があると予測できます。

 

神経内科への道は後輩医師にお薦めしない(?

 

残念なニュースはもうひとつあります。

 

医療ニュースを扱うサイトが2015年に、医師1600人に対し「後輩に薦めたい診療科は?」というアンケートを行ったところ、脳神経系では、脳神経外科がかろうじて16位に入ったのですが、神経内科はランクインできませんでした。

 

ちなみに「後輩に薦めたい診療科」のベスト5は、次の通りです。

 

1位:内科
2位:総合診療科
3位:整形外科
4位:外科
5位リハビリテーション科

 

もちろん、このアンケート結果をもって「現役医師の神経内科の評価が低い」とはいえません。というより、このアンケート自体、診療科のバリューを測る目的で行われていません。

 

例えば、「後輩に内科を薦める」と答えた医師は、「なぜ内科を後輩に薦めるのか」という問いに対し、「開業向け」や「需要が増える」などと回答しています。経済面を重視していることがうかがえます。

 

また、「新しい薬剤がどんどん出てくるので、外科系診療科より内科診療科の方が良い」という回答もありました。つまり、「神経内科など内科系の代表としての内科」を後輩に薦める医師がいたことも分かります。


麻酔科医の求人票ひろい読み

 

2000万円の大台は比較的容易、都市部でも好条件

 

医師求人サイトの「リクルートドクターズキャリア」には、神経内科医の求人が436件掲載されています(2017年4月時点)。これは「かなり求人数が多い診療科」といえます。

 

神経内科医求人の特徴はずばり「年収が高い」ことです。

 

地方なら1000万円超はとても簡単です。北海道の東の端にある釧路市では最高2500万円が期待できます。

 

では都心部で低いかというとそうでもなく、東京都千代田区のクリニックでは、なんと下限が1800万円で「破格」といってもいいでしょう。ただ、訪問診療なのでフットワークの軽さが求められます。

 

いずれにしましても、専門医の資格をお持ちであれば、高年収を確保しやすい診療科であることは間違いありません。

 

地域
病院or診療所

年収 業務内容 当直 勤務

北海道旭川市
病院

1200万〜

 1600万円

外来、病棟 あり 週5日勤務

北海道釧路市
病院

850万〜

 2500万円

外来、病棟 あり 週4〜5日勤務

東京都千代田区
診療所

1800万〜

 2000万円

訪問診療 なし 週3〜5日勤務

横浜市泉区
病院

1200万〜

 1500万円

外来、病棟

経験6年以上の専門医歓迎

あり 週4〜5日勤務

沖縄県那覇市
病院

1200万〜

 2000万円

外来、病棟

経験6年以上の専門医歓迎

あり 週5日勤務

脳神経領域におけるiPS細胞研究のいま

 

慶応大学は脊損治療に応用

 

国内医学界の大きな話題のひとつにiPS細胞研究があります。他人の細胞から作ったiPS細胞で網膜を作り、滲出型加齢黄斑変性の患者に移植したニュースは記憶に新しいと思います。

 

iPS細胞による再生医療は、脳神経領域でも注目を集めています。慶応大学は2018年から、iPS細胞を使った脊髄損傷に対する臨床研究を開始します。

 

交通事故やスポーツ事故などで傷ついた脊髄損傷は、有効な治療法がないとされてきましたが、慶応大学では20年前からこの分野の基礎研究に取り組んできました。そこにiPS細胞が現れ、基礎研究から臨床研究へとステージが上がったのです。

 

慶応大学が目指すのは、iPS細胞を神経のもとになる細胞に育て、損傷した脊髄に移植し、手足を動かせるようにすることです。

 

京大は難病パーキンソン病に挑む

 

iPS細胞の生みの親である山中伸弥教授の京都大学は、パーキンソン病を発症した患者の脳にiPS細胞由来の細胞を注射して、症状が改善するかどうかをみます。
具体的には、拒絶反応が起きにくい人の血液からiPS細胞を作り、それをもとに神経前駆細胞を作り、パーキンソン病患者に移植します。

 

患者ではない第3者の細胞を使うことのメリットは「ストックができること」です。患者自身の細胞からiPS細胞を作る場合、患者が現れてから作業を始めることになりますが、第3者の細胞を使えれば「作り置き」ができるのです。

 

この移植では100万個単位の細胞が使われるため、iPS細胞による再生医療は「異次元」の領域に入ります。

 

治療期間が短くなり、治療費も数百万円まで抑えることができるとのことです。「パーキンソン病治療用のiPS神経細胞」は、大日本住友製薬が製品化する方向で進んでいます。

 

「パーキンソン病って昔は治せない病気だったらしいね」と言われる時代が、すぐそこまできているのかもしれません。

 

参考資料:

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2014年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/14/dl/kekka_1.pdf

 

●厚生労働省「診療科別にみた医師数」2004年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/index.html

 

●「生活習慣病の調査、脳梗塞」(日本生活習慣病予防協会)
http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/cerebral-infarction/

 

●「脳卒中治療ガイドライン」(日本脳卒中学会)
http://www.jsts.gr.jp/guideline/046_047.pdf

 

●「神経内科とは」(医療法人財団松圓会東葛クリニック病院)
http://www.tokatsu-clinic.jp/info/neurology.html

 

●「脳血管疾患とは」(日本成人病予防協会)
http://www.japa.org/?page_id=6310

 

●「医師1600人の『後輩に薦めたい診療科』」(m3.com)
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/406428/

 

●リクルートドクターズキャリア
https://www.recruit-dc.co.jp/jokin/search/

 

●「他人のiPS細胞で網膜移植」(産経ニュース2017 年3月)
http://www.sankei.com/life/news/170328/lif1703280037-n1.html

 

●「iPSで神経再生に挑む 慶大、脊髄損傷治療で臨床へ」(日本経済新聞2017年2月)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H8Q_Q7A210C1CR8000/

 

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厚生労働省は診療科別の医師数を公表していて、データからは「その科の現状」がみえてきます。呼吸器内科医のいまをみてみましょう。
シリーズ医師の年収と未来:「腎臓内科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の腎臓内科医の人数は3,929人でした。国内の医師総数は296,845人ですので腎臓内科医は1.3%となります。少ないように感じるかもしれませんが、40の診療科のうち21番目に多い数です。
シリーズ医師の年収と未来:「消化器外科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の消化器外科医の人数は4,934人で、全40科中18位と、ほぼ中間に位置しています。消化器内科医は13,805人(7位)ですので、消化器でも「内高外低」が顕著です。
シリーズ医師の年収と未来:「心臓血管外科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の心臓血管外科医の人数は3,048人で、全40科中22位と、ほぼ中間に位置しています。循環器内科医が11,992人、9位ですので、循環器領域でも「内高外低」の傾向は顕著です。
シリーズ医師の年収と未来:「脳神経外科医」編
厚生労働省の調査によると、2014年の脳神経外科医の人数は7,147人で、全医師数296,845人に占める割合は2.4%でした。「少ない」と感じるかもしれませんが、40科中14番目に多い数です。
シリーズ医師の年収と未来:「糖尿病内科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の糖尿病内科医の人数は4,446人で、全40科中20位とちょうど中間に位置しています。糖尿病内科医が統計に登場したのは2008年からなのでこの年と比較すると、2014年までの6年間に1,492人増え、増加率は50.5%です。
シリーズ医師の年収と未来:「呼吸器外科医」編
厚生労働省の調査によると、2014年の呼吸器外科医の人数は1,772人で、全40科中28位と「医師の数が少なめの診療科」といえます。一方で、呼吸器内科医の人数は5,555人、17位と、この分野でも「内高外低」の傾向は顕著でした。
シリーズ医師の年収と未来:「乳腺外科医」編
厚生労働省の調査によると、2014年の乳腺外科医の人数は1,622人で、全40科中30位と「医師が少なめの診療科」といえます。2008年の乳腺外科医の数は913人(31位)でしたので、2014年までの6年間で709人増、77.7%アップ、1.8倍になっています。
シリーズ医師の年収と未来:「産婦人科医」編
厚生労働省は、産婦人科、婦人科、産科の3科に分けて統計を取っています。2014年の医師数と、全40科中の医師数ランキングでは、産婦人科医10,575人(10位)、婦人科医1,803人(27位)、産科医510人(35位)となっていて、圧倒的に「産科も婦人科もどちらも標榜する産婦人科医が多い」ことが分かります。
シリーズ医師の年収と未来:「耳鼻咽喉科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の耳鼻咽喉科医の人数は9,211人でした。医師の多さランキングでは全40科中11位ですので「国内に多くいる医師」といえます。全医師296,845人に占める割合は3.1%でした。
シリーズ医師の年収と未来:「肛門外科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の肛門外科医の人数は432人でした。医師の多さランキングでは全40科中38位ですので「かなり少ない医師」といえます。全医師数296,845人に占める割合は0.15%にすぎません。
シリーズ医師の年収と未来:「泌尿器科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の泌尿器科医の人数は6,837人で、全40科中15位と、「国内では比較的多い医者」という位置づけです。増加率をみると、2004年の6,032人から10年間で805人増え、増加率は13.3%でした。
シリーズ医師の年収と未来:「放射線科医」編
医師専用求人サイト「リクルートドクターズキャリア」には、放射線科医の求人票が169件掲載されています(2016年12月現在)。この数字は「比較的求人数が多い診療科」といえます。
シリーズ医師の年収と未来:「人工透析医」編
厚生労働省の統計には「人工透析医」という項目がないので、ここでは人工透析医療に携わることが多い「腎臓内科医」と「泌尿器科医」についてみてみます。
シリーズ医師の年収と未来:「麻酔科医」編
厚生労働省の調査によると2014年の麻酔科医の人数は8,625人でした。医師の多さランキングでは全40科中13位ですので「国内に多くいる医師」の部類に属します。全医師296,845人に占める割合は2.9%でした。

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