シリーズ医師の年収:「眼科医」編 =高収入の眼科医だが競争激化の暗雲も=

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シリーズ医師の年収:「眼科医」編 =高収入の眼科医だが競争激化の暗雲も=  

高収入の眼科医だが競争激化の暗雲も

シリーズ医師の年収:「眼科医」編 =高収入の眼科医だが競争激化の暗雲も=

■ 記事作成日 2016/8/30 ■ 最終更新日 2016/8/30

「医師がうらやむ医師」といわれる眼科医。緊急手術がほとんどなく、勤務時間の予定が立てやすいので、プライベートを重視する医師が専攻する傾向があります。さらに収入面でも他科の医師より高待遇である、というイメージが根強くあります。

 

また眼科医療は技術革新が進んでいる分野でもあるので、やりがいも大きいです。

 

ただ、競争激化の様相を呈しています。ある眼科医は「10年前に歯科医を襲った価格破壊が眼科領域に起きるのでは」と危惧しています。

 

「眼科医は=高収入」は本当?

 

医師の年収に関するデータは複数の調査会社が発表しています。ここではA社、B社、C社のデータを見てみましょう。

 

A社のデータ:40代までは平均より低いが50代で飛び抜ける

  • 病院勤務の眼科医の年代別年収:20代700万円、40代1000万円、50代1900万円
  • 全科医師の年代別年収:20代484万〜745万円、40代1461万〜160万円、50代1895万〜1724万円

 

B社のデータ:若いときは高いが50代は伸び率が低い

  • 病院勤務と開業医を合わせた眼科医全体の年代別年収:20代741万〜923万、40代1300万〜1456万、50代1560万〜1495万円

 

C社のデータ:眼科医は18位!?

  • 病院勤務と開業医を合わせた全医師の科別の平均年収:1位在宅医療1364万円、2位腎臓内科・透析1329万円、3位整形外科1317万円…18位眼科医1266万円

 

各社まちまちの結果となりました。それぞれの調査会社は、独自の方法で情報を集めているためであり、集計母集団の前提条件にも異なりがある故です。しかしある傾向はつかむことができます。

 

それは「眼科医の年収が他科に比べて飛びぬけて高いわけではない」ということです。それではなぜ「眼科医の年収はかなり高い」というイメージが生まれたのでしょうか。

 

「過去のイメージをひきずっている」説

 

眼科医の年収が高いというイメージが定着してしまったのは、過去のイメージをひきずっているからだと推測されます。眼科領域は民間企業との連携がいち早く実現しました。一般内科や一般外科は、現在でも医療機器メーカー以外の企業とのコラボはほとんど実施できていません。

 

眼科が民間とのコラボビジネスを展開できたのは、コンタクトレンズとメガネという、医療器具とも耐久消費財ともつかないモノのお蔭です。耐久消費財は1年以上にわたって使われる商品のことで、家電やパソコン、自動車も含まれます。

 

かつては、正しいコンタクトレンズやメガネを装着するために、眼科医による検査を必要としていました。日本は近視の人が多い国なので、国民の「見える」の確保に医療と民間がタッグを組んだ形です。

 

特にこのコンタクトレンズ・ビジネスが、眼科医の年収を押し上げました。

 

しかし、規制緩和の波がコンタクトレンズ業界にも襲いました。どの業界でも、規制緩和は既存事業者の経営に影を落とします。

 

眼科界も同様で、眼科医の処方箋が不要になり、手軽に気軽にコンタクトレンズが買えるようになりました。これが眼科医の収入の押下げ要因になっていることは間違いありません。

 

破格の条件を提示する病院がある

 

このコンタクトレンズに関する規制緩和は、2008年に世界同時株安を引き起こした「リーマンショック」になぞらえて、「コンタクトレンズショック」と呼ぶ眼科医もいるほどです。

 

しかし、「眼科医に特別高い年収を提示している求人票を見たことがある」という医師もいると思います。実はそれも正解です。破格の条件を提示して眼科医を招聘している病医院があります。

 

それは、レーシックで成功している病医院です。

 

レーシックは完全自由診療ですので、料金は原則、病医院が自由に設定できます。都内の超有名眼科クリニックでは、最も高いレーシック手術の料金は、両眼で50万円です。しかもレーシック手術は30分もかかりません。

 

単純計算をすると、1人の眼科医が1日7時間手術にかかりっきりになったとすると14人に施術できます。つまり1日の売り上げは700万円にも上ります。

 

つまり手術室を3台設置して3人の眼科医に働いてもらい、クリニックを年間215日稼働させると、売上げは45億円になります。

 

というわけで、レーシック手術を専門に行える眼科医であれば、年収3500万から4000万円の求人票が登場しても不思議ではないのです。ある30代の眼科専門医は「2000万円以下の求人票は見ない」と豪語しています。レーシック手術を執刀できるという、特殊な技術に裏打ちされた自信の現れでしょう。

 

これが「眼科医の年収は高い」というイメージを作っている原因その2になります。

 

開業眼科医は3500万円!?

 

「眼科医の年収は高い」というイメージがある理由その3は「眼科医は開業医と病院勤務医の年収の差が大きい」ということです。もう一度、調査会社C社のデータを見てみましょう。

 

C社のデータ:18位!?

  • 病院勤務と開業医を合わせた全医師の科別の平均年収:1位在宅医療1364万円、2位腎臓内科・透析1329万円、3位整形外科1317万円…18位眼科医1266万円

 

眼科医は18位に沈んでいますが、このデータは病院勤務眼科医と開業眼科医を合わせた数字です。

 

しかし、開業眼科医だけの平均年収をみると、3500万円に達しているというデータもあります。

 

3500万円という金額は、開業医の労働対価としてのおカネです。「医師としての給料」に相当する金額が3500万円なのです。

 

開業眼科医の魅力

 

開業眼科医をワーク・ライフ・バランスの見地からながめると、救急対応をしなくてよいことは大きな魅力です。

 

これが内科クリニックですと、自院での医療の限界を見極め、重症患者を適切なタイミングで大病院に紹介しなければなりません。

 

その後も、大病院で症状が安定したら患者はクリニックに戻ってきます。つまり大病院との連携なしには、自院を運営できません。

 

眼科クリニックでも大病院との連携は欠かせませんが、それでも内科クリニックよりは、自院で完結する治療を行える率が高いです。これも開業後の魅力のひとつです。

 

さらに、眼科クリニックの患者の年齢層は、結膜炎の小学生から白内障の高齢者までと、かなり幅広いです。一度評判を獲得してしまえば、その患者の生涯を診ることができます。

 

これは顧客確保というビジネス面でのメリットだけでなく、医師としてのやりがいにもつながります。

 

立ち込める暗雲

 

開業眼科医に陰を落とすのは、医療事故リスクです。特にレーシック手術は、一部の杜撰な手術によって大きく社会問題化しました。

 

そこで、複数の開業コンサルタントは「眼科を開業してすぐにレーシックに取り組むのはリスクが高すぎる」と警鐘を鳴らしています。

 

レーシック手術は実入りは大きいのですが、「失敗」すると社会の厳しい目にさらされるからです。あるコンサルタントは「失敗といえない失敗でも、患者が『見え』に対する不満をSNSにつぶやくだけで経営が傾く」といいます。

 

さらに、白内障の手術も競争が激化しています。特に都心部では、誠実な医療を行っている眼科クリニックでも、生き残りが大変です。

 

元々眼科医は、他科の医師に比べて開業意欲が高いといわれています。そしてほとんどの開業医は、白内障の手術のスキルを身に付けてから開業しています。

 

白内障手術は決して簡単な手術ではないのですが、施術時間の短さや、日帰り手術が可能なことから、患者には「お手軽な手術」というイメージがあります。そのような患者は、手術技術の確かさより、クリニックの内装や雰囲気で医療機関を決めています。

 

新しい眼科クリニックの方が患者が集まりやすくなっているのです。

 

まとめ

シリーズ医師の年収:「眼科医」編 =高収入の眼科医だが競争激化の暗雲も=

 

レーシックをやっている中京地区の開業眼科医は、このようにつぶやいています。

 

「いまの眼科医療は昔ほど簡単に儲からないシステムになっている」

 

特殊な技術、新しい治療への知識、集患努力、そして評判。高収入をゲットできている眼科医は、こうした高いハードルをいくつも超えているようです。

 

 

(文責・医師紹介会社研究所所長 野村龍一)

 

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