医師がクリニックへ転職するメリットとは?

医師がクリニックへ転職するメリットとは?

■ 記事作成日 2017/1/10 ■ 最終更新日 2017/1/10

医師の就職先といえば、“病院”というのが一般的でした。しかし、近年では勤務スタイルの多様化に伴い、クリニックへの就職・転職を希望する医師も増加しており、実際に求人情報も増加してきています。

 

今回は、勤務先としての“クリニックと病院”の違い、クリニックで働くメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

 

医師転職市場におけるクリニックの定義

 

まずは、クリニックの定義からおさえていきましょう。クリニックは診療所のことであり、医療法では病床数によって以下のように定義されています。

 

  1. 病院:20床以上の病床を有するもの
  2. 診療所(クリニック):病床を有さないもの又は19床以下の病床を有するもの

 

医療法上、病院は“施設について傷病者に対し真に科学的かつ適正な診療を与えることが出来るものであること”としており、構造設備等についても相当程度、充実したものであることを要求しています。

 

一方の診療所については、構造設備等に関して、病院ほどの厳重な規制はされていません。

 

クリニックと病院の違い

 

病院では最新の医療設備を備えていることも多く、様々な検査や治療を行うことができます。そのため、難易度が高い治療を必要とする患者さんや、複数の診療科にまたがる病気を抱えている患者さんがいます。

 

従って、多くの症例に対応し、様々な病気に対する治療経験を積むことができるのが、病院の特徴です。

 

一方のクリニックでは、病院と比べると、比較的身近で一般的な疾病の診療が主になります。

 

地域医療の中では、クリニックはかかりつけ医の立場となることから、患者の気持ちに寄り添った医療を提供することや、患者さんの話をしっかりと受け止めることも求められます。

 

大きな病気の可能性を発見すること、患者さんの症状を総合的に捉えることも重要です。

 

クリニックで働くメリット・デメリット

 

クリニックと病院の勤務を比較すると、大きく違うのは勤務時間の違いではないでしょうか。特に入院施設を有しないクリニックでは、基本的には外来診療がメインであるため、夜勤や当直はほとんどありません。

 

勤務時間の面では、病院よりも比較的自由度が高いことがメリットと言えます。

 

報酬の面でも、患者を多く集めている人気のクリニックであれば、大病院に勤務するのと引けを取らない高収入を得ることも可能です。

 

特に高い報酬を望むなら、自由診療の多い診療科(例:美容外科、精神科、産婦人科など)を選択すると、より高額の収入を得ることが可能となります。

 

但し、クリニックは、地域内の“かかりつけ医”という位置づけであることから、訪れる患者さんは、身近な疾病であることが多く、重症度が高い、あるいは複数診療科での診察が必要な患者さんは、地域の中核病院等へ紹介することになります。

 

高度な医療に接する機会は少なくなるため、高度な医療技術や救急医療、先端の機器を扱った治療の経験を積みたいと考える場合は、病院の方が好ましいケースが多いでしょう。

 

また、クリニックでは勤める医師の数も少ないため、病院のように周りの医師たちから刺激を受ける環境ではないかもしれません。

 

しかし、特定の分野や診療科を究めたいと考える医師や、育児や家事と両立させたいと考える女性医師にとっては、クリニック勤務は非常に魅力的な選択となりえます。

 

クリニック勤務医師の平均年収は?

 

ではクリニック勤務の場合、どれくらいの収入が見込めるのでしょうか?

 

転職の際に、年収は大変気になる部分です。しかし、医師の年収というのは、実態の把握が難しい部分もあります。

 

医師の年収は、働く病院や役職などによっても変わってきますし、常勤医師としての年収だけでなく、当直の回数や臨時勤務(アルバイト)の有無によって大きな差が生じるためです。

 

これからお示しするデータは、厚生労働省による「平成27年賃金構造基本統計調査」を基にしています。

 

この調査は、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を、労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等に明らかにする目的で実施されており、“賃金センサス”と呼ばれています。

 

平成27年の賃金構造基本統計調査によると、勤務医全体の平均年収は10,982千円ということになります。

 

 

この値は、独立開業している医師のデータが含まれていない勤務医だけのものなので、一見年収としては低く感じると思います。

 

また、全ての年齢層の医師(勤務医)の平均として算出された数字であるため、他の職業と比較する際のひとつの目安にはなりますが、個々の医師にとっては必ずしもこの通りではない可能性があります。

 

では、次に年齢別、企業規模別データを見ていきましょう。

 

賃金構造基本統計調査では、企業規模による区分を行ったデータも公開されており、1000人以上、100〜999人、10〜99人の3つの区分に分けられています。このうち10〜99人の部分をクリニックと想定し、表にました。

 

 

ここでは、1000人以上と100〜999人のデータは割愛していますが、医師の年収の特徴として言えることは、一般企業では大企業ほど年収も高くなる傾向がありますが、医師の世界では施設規模に反比例する傾向が表れています。

 

つまり、クリニック>中規模病院>大規模病院 の順で年収が高い傾向にあるのです

 

医師全体の年収よりも、クリニック勤務医の年収が高いことからも、このことが読み取れます。

 

しかし、このデータは常勤先の給与のみのものであり、実際にはアルバイトを掛け持ちしている場合など、相当額の収入がプラスされることになるので、もっと高年収を得ている医師も多いと思われます。

 

例えば1回6万円の当直アルバイトを週1回、年間50回勤務する場合は、300万円程度が年収にプラスされることになります。

 

当直以外のアルバイトでも、医師の場合は時給1万円以上のものが多いため、自分自身の体力次第で、年収を上げていくことが可能です。

 

クリニックの求人例

 

クリニックでの求人は、常勤/アルバイトに関わらず、様々なものがあります。ここでは、当サイトでご紹介している転職サイトのうち、上位3位以内に入るような“評価の高いサイト”で紹介されている求人の例を、いくつかあげてみます。

 

 

医師の転職は、全国区で考えることができます。自分にとって働きやすい地域や、生活しやすい地域から転職情報を検索することができます。また、医師の転職必要条件には、高い“専門性”という要素もあります。

 

しかし、多くの条件の中から、自分の希望にマッチする転職情報を探し出し、報酬や勤務開始日などの条件を交渉するのは、時間もかかりますし、非常に困難です。そのような場合は、医師転職のプロに任せる、という選択肢もありますので、検討してみるべきでしょう。

 

【参考資料】

 

厚生労働省「医療施設の類型」
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-2/kousei-data/PDF/22010206.pdf#search='%E8%A8%BA%E7%99%82%E6%89%80+%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%B3%95'

 

厚生労働省 平成27年賃金構造基本統計調査
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001058843&cycode=0

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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医師が多い・少ない都道府県は?医師・歯科医師・薬剤師調査より
厚生労働省が行っている「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、医師全体の働く場所としては、やはり“病院で雇用される”ことがもっとも多くなっているようです。
医師転職に有利なマネジメントスキル
医業は専業職であり、専門医資格などを得て突き詰める事で優遇される事からか、マネージメントスキルが著しい乏しいドクターが多く見受けられます。しかし、一見すると一介の医師とは直接関係の無さそうなマネージメントスキルこそ、実は転職市場で有利に働くという事実。医師のマネジメントスキルについて、考えてます。
生涯収入アップのための転職活動
収入アップを基準に転職を考えた場合、その成否は、「生涯収入」にまで思考を拡げる必要があるもの。必要な時に充分に収入を得ながら、最終的に納得のいく生涯年収を得るために…ドクターの年齢やキャリアプランに応じた、収入アップを叶える転職事情を考えてみましょう。
マイナンバー制度が医師転職市場に与える影響を真剣に考えてみる
2015年10月、国民一人一人にユニーク番号を振り分ける、「マイナンバー制度」が始まりました。その目的は、社会保障や税の運営やサービスの向上を図るものですが、この仕組みを医療サービスにも活用しようという計画も動いています。マイナンバー制度は、医療業界、そして勤務医の転職市場に何をもたらすのでしょうか?
医師不足は解消されていない?医師数と病床数の推移の裏にあるもの=医師転職市場分析=
厚生労働省は、およそ2年ごとに「医師・歯科医師・薬剤師調査」というものを行っています。
医局外様はツライ?=出身大学と違う医局に入る苦労=
現在の臨床研修制度が敷設されて以降、出身大学以外の医局に入局するケースも一般的な事となりました。ひと昔前よりは格段に「開かれた医局」になったと言われていますが…果たしてその実態は…「医局外様」という言葉が表す通り、一筋縄ではいかないようです…
医師の需要と供給のバランスは?=医師転職市場分析=
2015年12月10日、厚生労働省では「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」が開催されました。昨今の医療事情を反映しながら学部の定員増措置の見直しを図るなど、今後の医師の数を左右する、重要な検討会となるようです。
医師の需要と供給のバランスは?その2=医師転職市場分析=
2015年12月10日、厚生労働省が「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第1回)」を開催しました。ここでは、全国的にみた「医師数を鑑みた医学部定員の在り方」が検討されていました。前回の当コラムでは、医師の数が増えている一方で、地域格差が埋まっていない現実をおつたえしましたが、今回も引き続き、「医師が求められている地域はどこか」を考えてみたいと思います。
医師の需要と供給のバランスは?その3=直近5年間の動向=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っています。その一方で、「医療施設(静態・動態)調査」という調査も行い、その時点での診療科別、都道府県別などの医師数および歯科医師数を把握しています。
必要医師数と必要求人医師数とのギャップの意味は?=日本医師会調査より=
厚生労働省では、数年ごとに「必要医師数実態調査」を行っていますが、2015年には日本医師会がこの調査を行いました。この調査結果からは、「必要医師数」と「必要求人医師数」とのギャップを見て取ることが出来ます。
少子高齢化ニッポン、最も患者不足となる地域は?=市場分析=
医師の仕事は、患者さんがいないと始まりません。つまり、人口が多いところには多くの病院ができますし、医師の需要も高くなります。
病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限
つい先日、厚生労働省の社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」が行われました。この会議の中では、介護療養病床と25対1医療療養病床が、2017年度末以降にどう変わっていくのか、という課題への議論が行われています。
所謂「地域に必要な医師数」とはどのように決められているのか?
日本では全国的に「医師不足」が叫ばれて久しいですが、本当にそうなのでしょうか。 確かに、有効求人倍率は常に1倍を超えていますし、どこの地域で勤務する医師でも「人手が足りない」と感じることは多いでしょう。
医師転職の難しさを、地域医療の医師偏在問題から考える
日本全国で医師不足が公の場で議論されるようになって、早10年。実はそれ以前に一度、医学部定員を減らす、という動きがあったそうです。
ポイントは「高齢化社会への対応」 厚生労働白書からみる必要な医師
先日、厚生労働省より「厚生労働白書」が公表されました。厚生労働白書とは、厚生労働省がおこなっている行政に関する年次報告書として位置づけられており、毎年少しずつ、取り上げる内容が変化しています。
医師の転職先を病院機能から考える 中核病院の定義とは
医師が転職を考える時、何を基準に転職先を選ぶのでしょうか。例えば、病院が担う役割から考えることもありますよね。「病院が担う機能」にはいくつかの定義がありますが、その中でも、時折耳にする「中核病院」という言葉があります。現在では何気なく使われている言葉ですが、どのような病院のことを定義しているのでしょうか?
公立病院への転職 医師としてのメリットはあるのか?
医師が活躍できる場所は様々な分野にありますが、中でももっとも多くの医師が勤務するのが病院などの医療機関です。医療機関は規模や特性によって、様々に分類されており、それぞれに期待されている役割、担うべき役割があります。
医師の需要は高いが、どうする?一般内科医への転職は正しい道なのか
医師という職業は、非常に多くの専門領域に分かれますが、その中でもよく見かける「一般内科」という言葉。単純ですが、だからこそその責務が分かりにくい言葉かもしれません。今回はこの「一般内科」と、今後増えてくるであろう「総合診療専門医」について考えていきたいと思います。
医師の「外来のみ勤務」への転職は可能か?
医師が働く現場としてもっとも多いのが医療機関です。しかし、入院施設のある病院では、夜間勤務や当直、オンコールなどの対応がつきもので、そういった夜間の対応に負担を感じる医師も多いのではないのでしょうか。
止まらない医師の偏在問題 自治体が医師数を完全コントロールする時代へ?
日本で全国的に“医師不足”が叫ばれるようになってから、早10年以上。ここ数年は、国が中心となって“医学部増員”を図っており、推計では2024年(平成36年)頃には、医師の需要と供給は均衡すると考えられています。
医師が総合病院へ常勤転職することは、吉なのか凶なのか
近年、病床数の変更や病院の統合などによって、医師確保対策に乗り出している、いわゆる“総合病院”。現在の医療法では、この名称への基準は無くなりましたが、それでもまだ、医師の転職先の選択肢として“総合病院”が視野に入ることは多いのではないでしょうか。
医師の“急性期病院への転職事情”を考える(公立編)
医療業界は日々目まぐるしく変化を続けています。その影響は、病院の機能にも及んでいます。今回は、ここ数年で色々な“変化”を余儀なくされている、急性期病棟に焦点を当てていきたいと思います。
医師転職サイトの“非公開求人”の実態とは?
日ごろから多忙な医師にとって、時間的・精神的な負担をかけずに、効率よく“優良な求人情報”を探す手段とは、どのような方法なのでしょうか?近年、医師の転職方法の主流になりつつある医師転職支援サービスの“非公開求人”について、詳しくご紹介していきたいと思います。
一般病院への転職、何を見てどう考える?
日本の医療分野では、一般病院という呼び方への明確な定義はありませんが、大学病院や特定機能病院との違いを明確にするために、一般病院と呼んでいる傾向にあります。
転職を考えるなら今!医師に求められる“地域医療”への対応力
現在の日本の医療は、抜本的な改革無しには立ちいかない状況に追い込まれています。そんな現在を生きる医師に対し、これまでの“狭く深い”分野での専門性から、“より広く深く”対応する力が求められています。今、医師が転職を考えるなら、このようなスキルを必要とされる“地域医療”に対応できる力を養うことも必要かもしれません。
いくつになっても可能なのか!?中堅医師の大学病院への転職
“大学病院”というとベテランの医師もいますが研修医も含め若い医師が多いというようなイメージがありませんか。医師以外の例えば看護師なども、卒後すぐに就職する先が大学病院である人が多いため、どうしても平均年齢は若くなります。今回は、大学病院で求められる医師の資質と、中堅以降での大学病院への転職について、考えてみます。
急性期病院への転職事情を考える(民間病院編)
以前、公立病院の急性期病院への転職に関する情報をお伝えしました。今回は、民間病院の急性期医療に着目していきます。公立病院と比較しながら、民間病院ならではの視点で概要をご紹介していきます。
必要医師数と医師確保対策から医師の転職を考える
全国的に医師不足が叫ばれているものの、平成36年ころには医師数は需要と供給のバランスが取れるとされています。しかし、それはあくまでも全体で見た医師数の話であり、都道府県別に見ると、現在でも医師数の需要と供給のバランスには、偏りが見られており、今後もその傾向は高まることが予測されます。
医師の需要が最も高い県はどこか?= 医師確保対策と医師必要数から考える
平成29年現在ではまだまだ医師不足が謳われているものの、平成36年ころには医師の「需要と供給」バランスが取れるとされています。今後は、医師も自分を積極的に売り込まなければならない時代がやってくるかもしれません。
医師転職市場分析 医師にとっての「短時間正社員制度」を考える
日本の一般企業では、2008年頃から「短時間正社員制度」の導入が推奨されています。この制度は、雇用者・被雇用者ともにそれなりにメリットがあるといわれていますが、果たして医師の世界でもそうなのでしょうか。制度の仕組みと、医師にとってのメリット・デメリットを考えてみます。
医師転職市場分析 相変わらず需要が高い、リハビリテーション医
リハビリテーション医の特長として、東京・大阪・福岡など都市部での需要が高く、実際の雇用人数も多くなっています。医学部増設に伴い医師数の増加が見込まれていますが、診療科によっては今後、都市部での医師の需要が低下するケースも見込まれますが、一方で「診療科としての需要が高い」というのは、その科の医師にとっては喜ばしいことかもしれません。
大学の医局から遠隔地へ勤務する「医師派遣」は法的に問題ないのか?
大学(医局)へ所属すると、避けては通れないのが「遠方への勤務異動」です。「君、○○の▲▲、好きだったよね〜」これはある医療系ドラマの中で、教授が「左遷命令」として使っていた言葉ですが、実際にこれをやると「法的にはNG」というケースがあります。

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