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【医療ニュースPickUp】2015年4月13日

医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。

”混合診療対象“となる薬剤リストを公表 国立がん研究センター

【2015/4/13】”混合診療対象“となる薬剤リストを公表 国立がん研究センター

 

2015年4月3日、国立がん研究センター(国がん)は「国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品」に関するリストを公表した。これは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している「未承認薬データベース」を元にして、米国あるいは欧州の承認情報を追加して作成したもの。

 

リストには全部で51の医薬品が掲載されており、英語ならびに国内での一般名、商品名、国内での取り扱い企業、国内での類薬、国内外での開発状況などがまとめられている。

 

また、FDAならびにEMAでの承認効能英文、国内での未承認・適応外の区分、FDAならびにEMAでの承認状況もまとめられており、どちらか一方での承認しかおりていない医薬品も掲載されている。

 

さらに、2つの薬剤についてのみではあるが、「未承認薬を用いた場合、患者自身はいくら支払うことになるか」という、医療費のモデルケースも掲載されている。

 

(A)全額自費診療だった場合
(B)薬剤費のみ自費

 

で、診療・入院・検査は保健適用だった場合

 

(C)薬剤が保健収載され、さらに高額療養費制度が適用となる場合 

 

の3つで、それぞれの金額が試算されている。

 

ここで例として上がっているのはイピリムマブであるが、「3ヵ月あたり4回投与(初回は入院)という試算をすると、(A)では13,673,450円、(B)では13,527,198円が必要だが、(C)になれば37,0545円で済むことになる。

 

これらの資料によると、抗悪性腫瘍剤や免疫調整などのいくつかの薬効の違いはあるものの、いずれにしても癌治療に用いられる薬剤であり、現在国内で整備を進めようとしている「患者申出療養(仮称)」の対象となる薬品が42剤ある、ということだ。

 

この制度は2016年度からの実施を目指しているが、今回のリストと照合すると、対象となる薬剤は血液癌、悪性黒色腫、前立腺癌などの治療薬が多いことが分かる。中でも血液癌を対象とした薬剤は、19剤と最も多く、さらにうち13剤は、ここ数年で米国あるいは欧州で承認されたものであった。

 

しかしこれらの大半は、1ヶ月あたりの薬剤費に100万円以上必要となり、全額負担する場合とほとんど変わらない。

 

つまり、一部の富裕層しか希望する治療は受けられないことになる。しかもこれらの薬剤は、国外での承認は受けているとはいえ、日本では未だ安全性や有効性が十分確認されているわけではない。

 

それでも「他に治療法がない」患者にとっては、例えかなり高額な未承薬でも、自分にとっては「頼みの綱」と成り得るのかもしれない。

 

その一方で、周囲の状況や「治療に成功した」という耳触りの良い情報を信用した患者からの申出により、安全性や有効性が確認できていない「自由診療」が横行する、という懸念があるのも事実である。

 

 

参考資料

 

国立がん研究センター 国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品について
http://www.ncc.go.jp/jp/about/senshiniryo/senshiniryo_01.html

 

同上 「国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品・適応のリスト」(2015/4/1 版)について
http://www.ncc.go.jp/jp/about/senshiniryo/files/01_list_02.pdf

 

同上 「国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品・適応のリスト」(2015/1/31時点のデータ、2015/4/1版)
http://www.ncc.go.jp/jp/about/senshiniryo/files/01_list.pdf

 

同上 未承認薬を用いた場合の、患者さん自らが支払う医療費(モデルケース)
http://www.ncc.go.jp/jp/about/senshiniryo/senshiniryo_01_02.html

 

厚生労働省 平成27年2月20日 第86回社会保障審議会医療保険部会 資料2-2
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000074688.pdf

 

同上 平成26年11月7日 第84回社会保障審議会医療保険部会 資 料 3
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000064189.pdf

 

【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】

 

今回公表されたリストを一通り見渡すと、「抗癌剤ってホントに高いな」という印象を持ちます。これでは「患者申出療養(仮称)」がスタートしても、現実的にこれらの薬剤を使用できるのは一部の富裕層に限られ、一般庶民は「保険で使える薬で我慢しなさい」ということになりかねないですね。

 

そもそも日本の「国民皆保険」制度は、貧富の差によって受けられる医療の差を無くすために始まった制度のように記憶していますが、「患者申出療養(仮称)」と「国民皆保険」は、平行線をたどるような気がします。

 

かといって、米国や欧州ではすでに保険で使える薬が「日本にいるから使えない」というの、もある意味ナンセンスですしね。自分が治療を受ける患者の立場になったら…と考えましたが、結論は出ませんでした。

 

そういえば、今回公表されたリストは「米国あるいは欧州ですでに承認されている薬」が対象ですが、逆は無いのでしょうか。

 

つまり、日本発の抗癌剤で既に日本では保収載されているのに、米国でも欧州でも未承認、という薬剤。ここ数年、日本の製薬企業による新薬開発が、ニュースになることも多いように思いますが。

 

例えば同時に、日本と米国と欧州で申請した場合、最も承認が遅いのは日本なのでは?と思いますが、この辺りがドラッグラグの原因なんですよね、きっと。

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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