【2014/12/4】糖尿病患者の治療コンプライアンスは意外と低い？患者と医師への意識調査より

2014年11月21日、日本イーライリリー株式会社（本社：兵庫県神戸市、社長：パトリック ジョンソン）は、2型糖尿病患者408名、並びに糖尿病治療に従事する医師348名を対象に行った「2型糖尿病治療とライフスタイル」に関する意識調査結果を発表した。

この調査結果からは、忙しい生活を送る現代の2型糖尿病患者は、医師が考える以上に心理的な負担を抱えており、実生活に合わせた多様な治療を求めていることが分かったという。

2 型糖尿病患者のうち、生活が忙しいと感じている患者は 65％に上り、その理由としては仕事（67.4％）が最も多く、趣味や習い事、家事等と続く。また、それぞれのライフスタイルにあった、日々の生活に支障なく継続しやすい治療を望む 2 型糖尿病患者は 52％に上った。

さらに服薬状況をみると、決められた服用／使用回数を守れないことが、全くないと答えたのはわずか24.5％。「ごくたまに」から「かなり」までその頻度は様々だが、4人に1人はきちんとした服用が行えていないという現実がみえてきた。

その理由として、61.7％が外出時などに薬を持参することを忘れていたためと回答している。

医師と患者との意識の相違という問題もある。2 型糖尿病患者の治療と社会生活の両立を難しくする要因について、医師は、仕事が忙しいこと（69.0％）、生活リズムが不規則になりがちなこと（68.1％）など、時間の制限や忙しさにあると考えている。

一方、患者本人からすると、食事の時間が不規則になりがちなこと（27.2％）、会食など人との付き合いがあること（22.1％）、生活リズムが不規則になりがちなこと（22.1％）、人前や外出先で薬を服用/使用したくないという気持ち（21．6％）等、仕事が忙しいこと（20.6％）と同等、治療に対する心理的な負担を感じていた。

さらに、治療と生活の両立が難しいことに関する質問では、「2 型糖尿病患者の要望を確認できている」と考えている医師は 53.1％に上る一方で、「医師に要望・不満を伝えられている 2 型糖尿病患者」は 25.8％しかいないことが分かった。

厚生労働省の統計によると、全国の糖尿病患者数は（その可能性を否定できないレベルも含めると）推計2,050万人。そのうち、現在治療を受けているものは男女ともに60％代であり、30％以上が未だ治療を受けていないことになる。

2014年11月14日に国際糖尿病連合(IDF)から公開された「DIABETES ATLAS」によると、世界の糖尿病人口は3億8,670万人（有病率 8.3%）、そのうち2人に1人は未だ何の治療も受けていないと推測されている。

それと比較すると日本の治療率は高い方かもしれない。

しかし日本における糖尿病の医療費は1兆2,152億円、そのうち65歳以上にかかる医療費が2／3を占めている。近年、高齢糖尿病の増加と治療の困難さが問題となっているが、高齢者に限らず、それまで築いてきたライフスタイルの変更が余儀なくされる糖尿病治療を続けるには、医師とのコミュニケーションも大きな課題となるであろう。

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