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全国的な倍率が最も高いリハビリ科の求人

リハビリテーション科の医師転職 =市場分析=

 

■ 記事作成日 2015/1/22 ■ 最終更新日 2017/12/6

 

日本は全国的に、どの科でも医師不足が叫ばれて久しいですが、ここ数年、需要が拡大している科にリハビリテーション科があります。

 

リハビリテーション科医の仕事は「病気や外傷の結果生じる障害を医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供する」ことにあります。専門医制度もあり、全国でおよそ1,400人のリハビリテーション科専門医(以下、リハ科専門医)が登録されています。

 

厚生労働省の「必要医師数実態調査」の結果によると、リハビリテーション科医の必要数は499.2と、内科・外科・小児科・精神科などと比較すると少ない数に見えますが、現役医師数と必要医師数との倍率では1.29となり、倍率が最も高い科になります。

 

具体的には、平成22年現在の現役医師数は1,750人で、必要医師数は499名。医師全体の必要人数は24,033人ですので、かなりニッチな市場ともいえます。

 

リハビリ科の特徴は、基本的に平日日勤のみであること。他科、特に脳神経外科、救急科、産科などのように、夜間休日を問わない緊急時の呼び出しは基本的にありません。実際のリハ科専門医の性別をみると、例えば東京都ではおよそ30%が女性医師です。

 

リハビリテーション医学会のホームページでも女性リハ専門医へのインタビュー企画を掲載しているなど、女性医師の活躍の場としても注目されています。


リハビリ科医が求められる分野は幅広い

リハ科専門医の仕事の分野は、かなり幅広いといえます。具体的には、脳血管障害、外傷性脳損傷、脊髄損傷、小児疾患、四肢の切断、骨関節疾患、関節リウマチ、神経・筋疾患、心疾患、呼吸器疾患、摂食嚥下障害、腎機能や免疫機能障害を含む内部障害などです。

 

これらの疾患を有する患者に対し、疾患や障害の診断・評価・治療、リハビリテーションゴールの設定、理学療法や作業療法をはじめとする機能回復療法、義肢・装具等の処方、運動に伴うリスク管理、ならびにこれらに関係する診療科との連携などが含まれます。

 

例えば、運動機能の回復が重要な疾患の1つに脳血管障害が挙げられますが、生活習慣改善が謳われ始めて久しいからか、この分野における患者数はここ数年で若干ですが減少傾向にあります。

 

しかし高齢化により、脳血管障害を発症する患者の年齢層が高くなり、急性期から回復後に退院しても、老老介護が必要となったり、介護関連施設への入居が難しくなるなど、患者にとってはその後の生活のための身体機能回復が重要なポイントとなります。

 

また、厚生労働省の平成25年国民生活基礎調査などをみると、実際に介護が必要となる原因のうち、男性の1割、女性の3割が関節疾患や骨折・転倒となっています。

 

特に高齢者では、5人に1人は骨関節疾患による自立度の低下による介護が必要であり、今後も高齢化によりこの傾向は強くなると考えられます。

 

さらに、厚生労働省の試算によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症。認知症も軽度のうちは自立度が比較的保たれていますが、認知機能障害に対する運動療法やリハビリなど、初期の頃からの関わり方でその後の病状が大きく変わることもあります。

 

こういった背景もあり、今後はリハ科専門医の需要は、全国的に現在よりも高くなる可能性があります。

リハビリ科の地域格差は

リハ科専門医であるか否かに関わらず、リハビリ科医師の需要は、都市部ほど高い傾向にあります。厚生労働省の「必要医師数実態調査」から、診療科別の必要医師数をグラフ化すると、以下のようになります。

 

リハビリテーション科の医師転職 =市場分析=

 

全国の都道府県別の必要人員(正規雇用)を平均すると、1都道府県あたり32人程度になりますので、東京、大阪、福岡が突出しているのが分かります。

 

日本リハビリテーション医学会が定める資格には、認定臨床医、リハ科専門医、指導医がありますが、いずれの場合も学会が認めた研修施設での研修が必須です(資格によって年数は違う)。

 

実際の研修施設も、東京、大阪、福岡にある医療機関等が多く、全597施設のうち東京都内に69、大阪府内に38、福岡県内に26あります。

 

リハビリテーション科医のいないところでは、脳血管障害なら脳神経外科医や脳神経内科医、骨関節疾患なら整形外科医などが主体となって、患者へのリハビリテーションを計画し、実行していくことになります。

 

しかし、疾患やケガを治すことに重点を置くこれらの科の医師に対し、機能回復、残存機能維持、退院後の患者の生活までをサポートするリハビリテーション科医は、1つの疾患だけではなく、患者の抱える問題をトータルに考え、判断・指導することが求められています。

 

医師は専攻する科や所属する医局によっては、休息もなく一生続けられるとは言い難い職場もあります。現在は若干、ニッチな分野ともいえますが、今後需要が高まる可能性のあるリハビリテーション科への転向も、考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

厚生労働省 必要医師数実態調査 診療科別現員、必要医師数
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/other/dl/07.pdf

 

同上 診療科別現員医師数(二次医療圏別)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/other/dl/08.pdf

 

日本リハビリテーション医学会 資格・制度
http://www.jarm.or.jp/member/member_system/

 

同上 研修施設リスト
https://member.jarm.or.jp/facility.php

 

同上 地域別専門医リスト
https://member.jarm.or.jp/specialist.php

 

同上 主な疾患のリハビリ
http://www.jarm.or.jp/civic/civic_cases/

 

厚生労働省 平成21年地域保健医療基礎統計
第31表 脳血管疾患の推計患者数の年次推移,傷病大分類・入院-外来・都道府県
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hoken/kiso/21.html

 

同上 国民生活基礎調査 平成25年調査結果
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h25.pdf

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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