医師転職用 履歴書の書き方とプレゼン手法

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野村龍一

野村龍一

某医師紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

当り前を完璧にこなす事は、簡単ではない…

考えてもみて下さい。殆どのドクターは、「学校」と「病院」という特定の社会でのみ生きて来た人材です。いくら論文執筆経験や臨床経験が豊富でも、自分自身を充分にプレゼンテーションするスキルには乏しいケースが一般的でしょう。

営業や広報の経験がある訳でも、マスメディアや広告代理店に勤めていた訳でもないのですから仕方ありません。

何度か転職を経験してきた医師なら、少しはアドバンテージがあるかもしれません。しかし、退局から初めての転職を経験しようとしているドクターなどは、まるで未知の世界に飛び込む、無知の自分を自覚した方が得策です。

「社会人なんだから、転職プレゼンテーションくらいできるに決まっているよ」…と、侮る事なかれ。転職市場で優位に立ち回るための基本的なプレゼンテーションができずに、望む転職を得られないばかりか、面接以前の書類審査で敢え無く落ちてしまう、残念な医師が一定数必ず存在しています。

そしてその残念な医師は、根本的なプレゼンテーション観念がずれ、当り前の事が出来ていない事から、どんな医療機関に応募をしても、残念な結果しか得られないでいます。

そんな時頼りになるのが「転職エージェント」ですが…間違いなくドクターの味方である転職エージェントも、複数のドクターの中で、転職プレゼンテーションが上手いドクターを優遇する傾向にあるとしたらどうでしょう?

当り前を完璧にこなす事が難しい、転職プレゼンテーション。その方法を、一つ一つ確かめてみる事にしましょう。

基本中の基本…「履歴書」について

履歴書と言えば、ドクターの為人を自ら客観的に示す、転職に必要な基本中の基本の資料です。

履歴書の基本はやっぱり手書き?

OA機器や電子カルテ等の普及などを背景に、医療機関の人事においても「履歴書のパソコン入力可」とする所も増えて来ましたが、まだまだ「履歴書は手書きで」と思っている人事担当者も多く、院長や理事長などの年配者には、「履歴書は手書きであって然るべきもの」…と、頑なに思っている事も多いようです。

履歴書提出において、特に「ネットのフォームから情報入力」「パソコンで書類作成」などと決められていない場合、履歴書は丁寧な手書きで作成した方が無難です。

履歴書は濃く黒い楷書で丁寧に

市販の履歴書用紙には、「※履歴書は、黒か青のボールペンで記入して下さい。」と記されている事がありますが、これを鵜呑みにしてはいけません。青色の履歴書を見た瞬間、厳格な医療機関では、内容を読む前にNGボックスへと仕訳けされてしまいます。必ず黒で、出来れば万年筆か水性ボールペンで書きましょう。油性のボールペンは黒の発色が悪く、ところどころ擦れてしまい、履歴書には適しません。鉛筆やシャープペンは、もっての他です。

また字体は、視認しやすい楷書に限ります。いくらドクターが達筆でも、草書や隷書などは不適合です。一画一画丁寧に、とめはねはらいに気を付けながら、しっかり楷書で書いて下さい。

証明写真は写真店で新しく撮影しましょう

履歴書において、文字と同じくらい重要な印象をもたらすのが、証明写真欄に貼付する写真です。

  • 古い写真を使わずに新たに撮影する
  • 必ずスーツにネクタイを着用する
  • 頭髪は清潔に整え髭は剃る
  • 写真店でプロに撮影してもらう
  • コイン式のスピード証明写真は使わない
  • やや顎を引き、心は笑って、顏はきりっと

これらのチェックポイントに適う写真を貼付して下さい。

写真店の証明写真も、ほんの数分で出来上がる時代です。一眼レフを用い、きちんと照明をたいてプロが撮った写真は、ドクターが最も好ましく映る仕上がりになるはずです。

スーツを着用する事の少ないドクターですが、仕事帰りのラフな格好での写真撮影はご法度です。

また、コイン式のスピード写真は、プリクラの様な加工がついているマシンもあり、色白加工・黒目くっきり加工などがあしらわれ、証明写真に似つかわしくない、不自然な仕上がりになっているものが多々見受けられます。プリンターの質も簡易的なものですので、どうしてもクオリティの低い写真になってしまうでしょう。

スーツを着て、ほんの10分程の時間を作れば、立派な履歴書用の証明写真を手に入れる事ができるはずです。どんなに忙しい日々を送っているドクターも、理想的な職を得るために、少しの時間を作って欲しいものです。

誰もが声高に言いはしませんが、正直な話、「先ずは写真の印象で書類選考をする」…という人事担当者も少なくありません。特に人気のある求人を出す医療機関の場合、多くの応募者が殺到する訳ですから、その初期選別には、雑念の入らない一瞬の勘に頼った方が成功率が高いと言うのです。

もちろん、持って生まれた顏の造作の良し悪しというより、大切なのは、「感じの良さ」です。「社会人として適当な風貌か?」「医師として好感の持てる風貌か?」…というようなポイントを、瞬時に判断されるのです。

履歴書において、証明写真は非常に重要な位置を占めます。その事を肝に銘じて、しっかりと準備をし、好感触な写真を用意して欲しいものです。

日付はできるだけ直近で

履歴書には、必ず記入日を記載する所があります。転職活動中のドクターは、「時間がある時に何枚か記入しておこう」…と、考えがちで、医療機関にコンタクトをとるかなり前の日付を記載していたり、日付を記入していないような履歴書も見受けられます。

もしも履歴書を郵送するならば投函日の日付、持参するならばその数日前以内の日付の記載が理想的です。あまり過日の記載だと、「うちの医療機関に入職したい訳ではなく、ただ単に手広く転職活動をやっていたんだな。」とか、「どこかで不採用になった履歴書の使いまわしか?」…などと、悪い印象を与える事に繋がります。履歴書の日付は、必ず直近で書くように心がけて下さい。

誤字脱字・汚れなどに注意

至極当たり前の事ですが、誤字脱字を見つけたり、汚れが付着してしまった場合は、修正液などで対応せずに、迷わず履歴書を書き直してください。この当たり前の事が出来ていない履歴書が、実は一定数あります。そして、至極当たり前の事が出来ていない事で、落ちる履歴書と化してしまっているのです。

高校以上の学歴と職歴を簡潔に

履歴書の学歴は、高校以上のものを記す事が通例です。しかし、もしもドクターが私立や国立の名門小中学校を卒業しているならば、小中学校の学歴を記載しても構いません。小さな頃から比較的高学歴な方が多いドクターです。もしも面接担当者や意中の医療機関の上長となる医師などと、小中学校が同窓だったような場合、一気に親近感を持ってもらえ、評価の対象となるケースも少なくないのです。

また、よくあるミスケースに、記載された年度が間違っている事が挙げられます。生年月日を間違う人はいないでしょうが、学校卒入学年度等の間違いは非常に多く、中には西暦・和暦を揃えていない人も見受けられます。履歴書記入前には、いま一度、卒入学年度・就業年度などをきちんと調べ、西暦・和暦をどちらかに統一して記載するようにしましょう。

尚、医師の転職資料には、履歴書の他に職務経歴書も必ず揃えますから、履歴書に記載する職歴は、あくまで簡潔に、客観的な履歴のみを記載して下さい。職歴には、医業以外の一般企業での職歴も、必ず記載します。また、学歴や職歴の一行目に、それぞれ「学歴」「職歴」と記載すておくと読みやすいでしょう。

時折、非常に細かい職歴を履歴書に記載しているドクターを見受けますが、ゴチャゴチャしており、必要な情報を一目で把握できず、悪い印象を与えてしまう事があるようです。細かな職務に対する情報は、あくまで職務経歴書に記載する事を忘れずに、「履歴書=ドクターの顔」として、簡潔にまとめるよう心がけて下さい。

業績欄もあくまで簡潔に

学歴・職歴の記載欄の下に、業績を記す欄がよくあります。ここには、論文・発表などに関する実績を記載しますが、あくまでこれは履歴書です。職歴と同じく、簡潔に、客観的事実のみを記載して下さい。多くの論文を発表されているドクターも、代表的なものだけを記載するのです。細かな情報は、履歴書ではなく、職務経歴書に記載するようにして下さい。

趣味・特技・自己PR欄を軽視しない

実に勿体ない履歴書に、趣味・特技・自己PR欄などがブランクのケースが挙げられます。学歴や職歴などにはしっかりと記載していても、志望動機・趣味・特技・自己PRなどの情報を、軽視しているドクターが多いのです。

前述に「履歴書=ドクターの顔」だと述べましたが、履歴書は、ドクター自身の人間性を訴求するためのものです。そう考えると、学歴や職歴よりも、むしろ趣味・特技・自己PRなどの方が、より人間性を訴求できる項目かもしれません。

たとえば、スポーツに注力してきたドクターならば、粘り強さなどの精神性や体力のアピールにも繋がりますし、ラグビーや野球などのチームスポーツ経験が、チームプレイに適う人材と見なされる事もあります。

面接担当者や上級医師などに同じスポーツや音楽などの経験者がいた場合、一気にコミュニケーションを好循環させる情報にもなります。

ボランティア活動に注力しているドクターならば、ドクターとしての精神性を評価されるポイントにもなりますし、その活動が即、医療機関のCSR活動に繋がる事もあります。

趣味・特技・自己PR欄は、最も空欄にしがちな所ですが、実は、面接の攻略ポイントとなる非常に大切な箇所です。面接は、初対面同士のコミュニケーションの場ですから、ドクターの人となりを示す情報を記載しておく事で、思わぬ会話の糸口となり、転職のドアが開く事もよくある話なのです。

また、ドクター自身と、他のドクターの違いが、最も現れる箇所でもあり、ドクターの表面的なスペックだけではなく、人間性まで見てもらえるチャンスが得られるポイントです。

もしも同程度の医業スキルを持つ同年代の医師が複数人いたとするならば、間違いなく人間性という観点から採用・不採用を決定するでしょう。その時に重要ポイントとなるのは、職務経歴書ではなく、むしろ履歴書なのです。

趣味・特技・自己PR欄を軽視せずに、転職成功の突破口として、しっかりと戦略的に記入するように、努めて欲しいものです。

基本中の基本…「職務経歴書」について

転職の際、履歴書と共に必ず必要となるのが「職務経歴書」です。医療機関での採用に伴う最も明確な指標となるのは、これまでのドクターの「医療実績」である事は揺るぎませんので、非常に大切な書類であると言えるでしょう。

そのため、職務経歴書には、より具体的情報を、数字と共に記載していく事が重要です。たとえば同じ診療科の専門医資格を持つ医師でも、特定の疾病の症例数はそれぞれ異なります。医療機関によって、求められるスペシャリティは当然異なるため、具体的な実績のPRが、非常に大切になってきます。

また、職務経歴書は、履歴書と異なり、非常に多くの具体的な情報を記載する必要がありますし、書き直しや書き足しも頻繁に発生します。採用担当の医療機関側も「読みやすさ」を第一義に求めているため、職務経歴書の作成は、必ずパソコンによるものとしましょう。

職務経歴書のやりとりは、出力した紙資料か、ネット上を介する場合はPDFが一般的です。そのため、どんなソフトで作成しても構いませんが、Microsoftの「Word」か「Power point」あたりが汎用性が高く、好適だと言えるでしょう。

また、職務経歴書の作成にあたっては、所定の書式の有無を、応募先の医療機関に必ず確認して下さい。履歴書はB5サイズ(B4の2つ折り)が一般的ですが、職務経歴書は、A4サイズの縦置き横書きが一般的です。

医療機関によっては、B5サイズを規定としていたり、独自のフォーマットが存在している事もありますので、転職希望先の募集要項をしっかりと確認し、要件を満たすように調整して下さい。

職務経歴書の「1:職歴」について

「職歴」欄は、言うまでも無く、職務経歴書に於いて、最も重要な項目ですので、職務経歴書の最上段に記載します。

先ず、横軸に職歴の基本情報を記載します。
同じ勤務先でも、診療科や職位が大きく異なれば、別の職歴として扱い、別項目として記載します。

  • 時期(入職~退職の年月を記載)
  • 勤務先(勤務していた医療機関の正式名称)
  • 所在地(都道府県を記載・必要に応じ市町村まで記載)
  • 担当科目(内科・外科などの診療科を記載)
  • 職位(役職などを記載)

そして、横軸に記載した基本情報の下に、必要な数だけの実績を記載していきます。たとえば特定の疾病などの症例数を記載する場合、一年間で何例くらいを診て、何年勤続したか?などを考える事で、症例数の見える化を図りましょう。

Ex.
肝臓疾患患者 年100例×10年=1000例
…などという具合に具体的な数字を出すのです。
症例数は、できるだけ多岐に渡る項目を書き出してください。

また、臨床や手術の症例数だけではなく、担当したプロジェクトについても職歴として記載します。

Ex.

  • 地域包括医療のためのクラウドカルテ推進委員会理事
  • 訪問医療導入のための準備委員
  • 認知症外来運営プロジェクトセミナー開催
  • 過疎地クリニックでのワクチン外来立ち上げ指導

…など、勤務していた医療機関の業務で担当したプロジェクトや、関連する地域のプロジェクトなど、何でも構いません。担当したプロジェクトで、転職活動に有用だと思われるものは、全て記載して下さい。

実際、他の医療機関に転職をしても、以前勤務していた医療機関と、似たような課題を持つ所は多く、ドクターのプロジェクト経験などを、即戦力として受け取るところも多々あるようです。

職務経歴書の「2:免許・資格等」について

「職歴」に次いで、免許・資格等を記載します。ここには、履歴書に入りきれなかった、全ての資格を記載して下さい。たとえば、履歴書には専門医資格しか記載していなくても、職務経歴書には認定医資格についても記載します。

医業以外の免許・資格については、最下部に、同様に記載して下さい。最近では、在宅医療の推進傾向などから、普通自動車運転免許など、至極一般的な免許についても確認される事があります。

職務経歴書の「3:専門分野」について

「職歴」「免許・資格」に次いでは、「専門分野」について記載します。これは、内科・外科といった診療科ではなく、ドクターが専門医資格等を持つ診療科における、細分された専門分野を記載します。

たとえば、一般内科の専門医資格をお持ちのドクターならば、“高血圧”“肝臓病”といった具合に記してください。応募先の医療機関が注力している内容と関連性のあるものを選び、必要に応じて複数個記載すると良いでしょう。

職務経歴書の「4:所属学会等」について

「職歴」「免許・資格」「専門分野」に次いでは、「所属学会等」について記載します。主だった指導医・専門医・認定医などの資格を認定されている所属学会はもちろん、特に資格を認定されていない学会についても記載しましょう。

また、学会でなくとも、何らかの勉強会や、NPO法人などに属している場合なども、同じくここに記載します。医療に少しでも関連する全ての社会的情報は、できるだけ記載するようにして下さい。

職務経歴書の「5:主な研究内容・論文等」について

「職歴」「免許・資格」「専門分野」「所属学会等」に次いでは、「主な研究内容・論文等」について記載します。研究に注力されているドクターは、記載できないほどの量の情報があるかもしれません。その際は、代表的な研究や、受賞歴のあるドクター有名論文などのみを記載し、別紙を添付すると良いでしょう。

職務経歴書の「6:自己PR」について

「職歴」「免許・資格」「専門分野」「所属学会等」「主な研究内容・論文等」に次いでは、履歴書にも記載した「自己PR」について改めて記載します。職務経歴書の自己PRは、履歴書よりもより専門的かつ具体的に、医療や医業についての情報を記載して下さい。

ドクターが描いている医師としてのビジョンや、応募先医療機関に入職してからの勤務イメージなどを、分かり易くかつ、魅力的に記載します。

「簡潔に分かり易く」という事を前提にしても、たくさんの情報が要されるドクターは、最大A42~3枚程度の文章を記載しても構いません。ただその場合、あくまで読み手に届きやすく書く工夫が必要で、大項目・中項目・小項目などに分けた見出し書きをするなど、文章として魅力的な読み物になるよう、心がけて下さい。

優れた文章コンテンツを書けない場合は、「簡潔に分かり易く」という域を出ない方が賢明です。

魅力的な転職書類を作成するには

採用担当者の立場になって、考えてもみて下さい。

過疎化の進む僻地医療のための採用ならば別ですが、都市部の人気求人ならば、常に多くの応募が殺到しています。たくさん届く書類の一つ一つを吟味してくれる訳ではありません。

良い応募書類…つまり、採用確立を高める応募書類は、無味乾燥な客観的情報だけでなく、ドクターの為人が分かる、主観的情報が上手に盛り込まれているのが特徴です。

とはいえ、履歴書も職務経歴書も、やはり主と成るのは客観的情報です。その客観的情報に、「具体的なエピソード」や、そのキャリアから得られた「思い」などを肉付けていく事で、血の通った温かみのある書類へと昇華させ、読み手が興味を持って能動的に読み進めやすく、読んだ後に「このドクターに会って話をしたい!」「このドクターと共に働きたい!」…と、思わせる情報にまとめるのが理想です。

転職書類はある意味、ラブレターのようなものなのです。

たとえば、ドクターが医業における信念を語る時、なぜそう思うに至ったのか、そのエピソードを切り取り、回想シーンのように文章化します。たとえば、ドクターが将来の展望を語る時、応募先医療機関のビジョンとドクター自身のビジョンを重ねあわせて、ドクターのキャリアをどう活かせるか?…などについて文章化します。

魅力的な文章の切口は様々ですが、少なくとも、ドクターが主体的に文章世界を描き広げていく心づもりが必要です。客観と主観を上手に織り成せる文章が、転職プレゼンテーション用書類としては理想的だと言えるでしょう。

転職エージェントへのプレゼンテーション

転職エージェントのコンサルタントは、ドクターの転職サポートの力強い味方です。どんな時でもドクターサイドに立ち、ドクターの利益を目指したサポートを丁寧に行ってくれます。

しかしながら…ドクターの転職の成功如何は、転職エージェントへのプレゼンテーション時から始まっているという事を、しっかりと知っておいて欲しいのです。

コンサルタントも人の子…自らが好印象を持ったドクターに、より注力し、優遇しようという心理が働くのは当然でしょう。転職エージェントがドクター側の存在である事に揺るぎはありませんが、転職エージェントへのコンタクト時も、ドクター自身が「魅力的なドクターである事」をPRする事は大切なのです。

コンサルタントが好感を持ったドクターは、非公開の魅力的な求人を優先的に紹介してもらえたり、医療機関との条件交渉時に熱を込めて注力してもらえるなど、転職活動時に必要なベストサポートを受けられる事でしょう。

たとえば、転職エージェントのエントリーフォームに情報を入力する際も、前述の「履歴書」や「職務経歴書」の作成時に注意すべき切口は、同じく応用のうえ、注意すべきです。

転職エージェントでの初めての面談時にも、応募先への面接時に準ずる程度の気持ちで、しっかりと自己PRの材料を準備しておいた方が得策です。服装に関しても、スーツやネクタイまでは必須ではありませんが、Tシャツに短パンやサンダルなど、あまりにもラフな格好はご法度です。「初めてビジネスパートナーに会う」…というシーン設定を忘れずに、シャツを着用したり、ソフトジャケットを羽織る程度の身だしなみは整えましょう。

ドクターのビジョンイメージを語れるようにしておく

転職エージェントのサイトには、「何もわからなくても心配要りません、ドクターの意向を汲み、一緒に転職プランニングをしてゆきます。」…というような内容が、軒並み記載されています。これは嘘ではありません。

しかし、ドクターがノーアイディアならば、コンサルタントが道標を示すための材料がありません。それでは、マッチングに時間がかかったり、アンマッチを招く恐れが非常に高くなってしまいます。

  • なぜ、転職したいのか?
  • 現職では何が不満なのか?
  • 転職で、どのような環境改善がされると理想的なのか?

上手な言葉でなくても構いません。まとまってなくてもいいのです。しかし、何が問題なのか?どうしたいのか?という心の叫びについては、できるだけしっかりコンサルタントに伝えて欲しいのです。

コンサルタントとの面談は、医療機関の面接とは異なりますので、極端な話、愚痴をこぼしても構いません。しかし、その愚痴をフックにどこに進みたいのか?…という意思確認に至らなければ、その愚痴はただの愚痴で、どこにも進む事はできません。

どんなに現職の愚痴や将来の不安を口にしても結構ですが、「だから、どうしたいのか?」…という方向性だけは、きちんと語れるようにしておきましょう。

希望諸条件に優先順位をつけておこう

転職エージェントのコンサルタントに、ドクターの頭脳手足となってうまく立ち回ってもらうためには、ドクターの心のうちの共有が必須条件となります。「ドクターが何を望んでいるのか?」…を、コンサルタントが理解・情解できなければ、ドクターの思うような求人を探せる筈がありません。

激務が強いられる勤務体制に不満で、もっと高給が欲しく、ドクターとしてキャリアアップを図りたく、新たな専門医の資格も取得したく、都市部で勤務したく、退職金制度があるところが良い!…と思っていても、それらを全て「一回の転職で一発解決!」…と、いう訳にはいかない可能性は高いでしょう。

そんな時、どうしても譲れない条件はどこなのか?…を、自分なりにしっかり考えておいたならば、話はスムーズに進みます。

「年収アップができるなら忙しくてもいいか。」
「退職金制度があるなら、年収がこのくらいでもいいか。」
「忙しくない職場ならば、平均的な年収で納得できる。」
「キャリアアップが図れるなら、他の条件は二の次だ。」

…など、ドクターの希望条件で、一番大切なものをはっきりと見出しておくのです。その上で他の条件に優先順位をつけられたならば、あとはコンサルタントが上手に段取りしてくれるでしょう。

面接時のプレゼンテーション

応募書類を揃え、転職エージェントのコンサルタントとの面談を経て、書類審査を通過し、いよいよ応募先医療機関との面接がやってきました。言うまでも無く、面接は、転職活動のクライマックスです。この山を越えれば、ドクターの転職成功への道が拓けてくる可能性が高くなります。

「当り前の事を当たり前にする事が難しい」のが転職活動です。それは面接に於いても言える事で、この山を越えるためには、実に様々な配慮が必要となります。

医師転職の面接プレゼンテーションのポイントについて、考えてみる事にしましょう。

服装・身だしなみに注意する

ドクターの面接も、一般企業と同等の接遇配慮が必要です。必ずスーツを着用し、シャツは白、ネクタイはドクターに似合う好きな色で構いませんが、派手すぎないものを選んで下さい。特殊なモチーフ柄のネクタイなどは、避けた方が良いでしょう。靴はもちろん革靴で、バッグはあくまでスーツに似合う物を持ちましょう。

「そんな当たり前の事、分かっているよ」…という声も聞こえて来そうですが、この当たり前の事が出来ていないドクターが、必ず一定数、そう少なくない数います。ドクターは普段の出勤時にスーツを着る機会は少なく、職場で対峙する人も患者さんが主となりますから、ビジネスマナーに慣れていない人が、実は比較的多い職種なのです。

さすがに面接にスーツを着用しないドクターは少ないですが、(それでも一定数いて、面接官を驚かせています)スーツにクロックスやスニーカーを履いていたり、スーツに紙袋をぶらさげているドクターは、残念ながら少なくありません。

職場で臨床に携わっているドクターは、平服で出勤し、長時間勤務に耐えうるラフな靴を履き、白衣を羽織って万事OKとしている方が多いようです。職場から面接場所に直行するような場合、スーツにクロックスのままで出かけるケースなどが、失敗を招く原因の一つのようです。

また、身だしなみについても、当り前の事を当たり前にして下さい。髪は洗髪のうえ調髪し、髭は剃り、爪は短く揃え、あくまで清潔な出で立ちを作って下さい。当たり前の事ですが、激務を強いられているドクターは、当直明けでそのまま激務に突入し、無精髭が伸びている場合も多く、この当たり前の事が出来ていないケースも少なくありません。

非常に多忙な現職での勤務の最中に「転職活動」をしようとしているのですから、面接のタイミングに合わせて、服装や身だしなみを整えられないケースもあるでしょう。しかしそうならないように、出来るだけ時間的余裕を持って面接に挑むようにして下さい。

もし仮に、勤務先から急いでタクシーを飛ばして面接会場に出向く必要がある時、この「服装・身だしなみ」を充分に整えられないほど繁忙であっても、先ずは時間を優先させて下さい。「一度家に帰って風呂に入って着替えるので、1時間半遅れます。」…というような事は通用しません。

その際は、仮にスーツではなくとも、無精髭を生やしていても、面接に穴を空けたり、時間に遅れるよりは、きちんと時間通りに出向いた方がマシなのです。

そして、まず、面接官に事情を説明し、丁寧に頭を下げて下さい。

“当たり前の服装・身だしなみが出来ておらず大変申し訳ないが、当直から日勤に入り、急患続きで時間が無かった”…と、正直に述べて下さい。相手方も医業の同志です。常識やマナーを分かった上での非礼を詫びれば、事情を汲んでくれ、問題にはしないでしょう。またこの実直な侘びが、プラス査定に繋がる事もあるでしょう。

ネガティブな表現は避け、あくまでポジティブに

転職を志すのは、現職に何らかの不満があるからに他なりません。しかし、その不満を面接の場で愚痴をこぼすように表現するのは良くありません。それが、転職エージェントとの面談と、応募先医療機関との面接で、決定的に違うポイントです。あくまで転職をポジティブなステップアップだと捉え、ポジティブな話題として表現していくのです。

面接の場では、必ず「転職理由」を聞かれます。その際、実際はネガティブな話題を、ポジティブに表現するにはどうしたら良いのでしょうか?

◆激務を苦にした転職の場合

当直や急患やオンコールが絶えず、身も心も限界に達している医師は少なくありません。しかし、「今の職場の忙しさから解放されたい」…という表現は、「医師の使命を全うするなら、どの病院でも忙しいものだ」…と、反感を買う事になるかもしれません。

仕事量を減らし、安定した生活時間を確保するための転職は、「転職後の職場で、ドクターがどんな風に貢献したいのか?」…に、話をすり替えた方が得策です。どうしても深く掘り下げられ、本当の理由を述べなければならないシーンが来た時も、「落ち着いた環境で集中して働き、医師としてのスキルアップを図りたい」…という様な言い回しが適当です。

◆収入を不満とした転職の場合

「もっと収入を得たい」…職場環境には不満は無くとも、給与や休日などの勤務条件に不満があって転職を希望するドクターは非常に多いようです。

その際も、「現職は勤務内容の割に給料が安く、遣り甲斐が無かった」…という表現はご法度です。転職理由という質問をややすり替え、「貴院の経営方針に感銘を受け、諸条件にも充分に納得できるため、心置きなく集中して医業に励み、貴院に貢献しながら、医師としてのスキルアップを図る事ができる。

そういう環境で働きたいと思ったからです。」…と、現職の不満が滲む転職理由ではなく、より良い環境で働き、医業に貢献したいと言う転職理由を述べる事で、その為の条件として諸条件があるというような、ソフトでポジティブな言い回しが適当です。

◆望むキャリアを積めない事を苦にした転職

「〇〇の症例数が積めない」「手術はいつも上級医がやりたがる」…勤務諸条件には不満が無くとも、望むキャリアが積めない事を苦にした転職もよくある話です。

その際も、現職での機密事項ともなる情報を、愚痴のような形で露呈するのは好ましくありません。狭い医療業界の中で、ドクターに悪い噂が立つ原因にもなってしまいます。転職理由という質問には、あくまでもドクターのキャリアプランを実現するためだという点を表現しましょう。

「〇〇を目指す私にとって、貴院が注力されている〇〇のキャリアを積める事は、とても魅力的な事です。最短で専門医の資格をとり、貴院に貢献したいと考えています。」…などと、転職後のビジョンについて語る事で、現職の守秘義務を遵守しながらも、ポジティブな言い回しに換える事が適当です。

◆家庭や自分の問題を苦にした転職の場合

家族や自分のプライベートな問題が原因で、転職が必要なケースもあるでしょう。結婚や出産や育児など、誰もが経験するライフイベントが理由の場合はそれほど気を遣う必要は無く、直球で転職理由を述べても構いません。また、子供の受験などといった前向きな環境変化に対応する場合も同様です。

しかしながら、ドクター自身の病気や家族の介護など、負の要素と戦っていかなければならないような理由の場合、必ずしも全てを洗いざらい話すのは得策ではありません。勤務に支障が来す恐れが無い場合は、ネガティブな情報提供は避け、「どんなドクターを目指しているのか?」「貴院でどんな貢献をしたいか。」など、将来のビジョンにすり替えて、話をした方が良いでしょう。

しかし、例えばドクターがうつ病などと戦っていたり、親が認知症などを患い、急な出勤変更などが余儀なくされるケースが予想される場合などは、言い難いながらも、はっきりと伝えておく必要があります。

その上で、週に何日は働けるかとか、急な早退や遅刻などが発生するケースに備え、働ける日は残業でも何でもするという意思を示すなど、プライベートな事情と共に、誠意を示す必要があります。

勤務体制に支障を来すケースが予想される場合は、予め通常と違う労働契約を認めていただく交渉をしたり、支障を来した場合にどう対処するのか?などいうシミュレーションを行う必要があります。

入職後のアンマッチやトラブルを避けるためにも、このようなケースに限っては、正直に洗いざらい話しておく事が重要です。

会話のキャッチボールを楽しむ余裕で臨みましょう

転職のための面接は、誰もが緊張を伴うものでしょう。しかし、相手は敵ではありません。これから同志同僚になる可能性のある人物です。「未来の仲間」という意識でリスペクトしながらも、できるだけリラックスして、平常心で臨む事が望まれます。

…とは言え、面接に緊張はつきものです。緊張は、ドクターが想定していなかった質問が飛んできた場合や、自分を良く見せようとして空回りする場合に起きやすいものです。必要以上の緊張を避けるために、面接シーンをシミュレーションしておくと良いでしょう。

「転職の理由」「医業としての経歴」「なぜこの求人に応募したか?」「将来どんな医師になりたいか?」「希望する条件は?」…など、面接で質問される一般的な項目についての回答を用意しておいて下さい。

また、履歴書や職務経歴書に記載している事は、一つの矛盾もなくエピソードなどを交えて語れるように、一つ一つの情報を今一度なぞっておいて下さい。

面接は、面接官が進行のハンドリングをしますから、質問の意味をきちんと理解し、簡潔に穏やかに回答できれば合格です。面接のシミュレーションをしていれば、会話のキャッチボールを楽しむ余裕が出てくる事でしょう。

質問の回答に「特にありません」は避けましょう

面接は面接官が進行していきますから、面接官の具体的な質問には、多くのドクターが、何らかの回答を述べると思われます。「特にありません」などという、意欲のないような回答をするケースは少ないでしょう。

しかし、面接の最後に、「最後に、聞きたいこと、話したい事など、何かありませんか?」…と、ドクターの意向に沿った話ができる機会を得られる事がよくあります。そんな時、「特にありません」と言ってしまうドクターを、非常に多く見受けます。

面接官がうまく話をすすめてくれたお陰で、本当に“特に無い”事もあるでしょうが、「特にありません」…という回答は、概ね悪い印象を与えてしまいます。最後の自由質問についても、何らかのトピックを予め用意しておくと良いでしょう。

「同じ診療科のドクターは、どんな人か?」などという、当たり障りのない質問でも構いませんし、本当にどうしても“特に無い”場合でも、「今日は〇〇さん(面接官)のお陰で、非常に密度の濃い、充実した時間を持つ事ができました。ありがとうございます。

確認しておきたい内容、貴院の経営方針などを伺う事ができ、非常に満足しております。」…などと、お礼を述べる形にすり替えて、場をうまく取り持つようにしましょう。

転職プレゼンテーションは、出来て当り前の事。

医師の転職プレゼンテーションとは、社会人として当たり前の事を当たり前に振る舞い、ドクター自身が真摯に応募先と向き合えば、そう難しい事ではありません。

しかし、この「当たり前」という事を卒なくこなす事を、なかなか出来ていないドクターが一定数いるのも事実です。医療業界は、独自かつ狭い業界で、社会一般のビジネスマナーが日常とされていない環境もあり、初対面のビジネスパーソンと対峙する機会も非常に少ないのが特徴です。

転職プレゼンテーションは非常に重要ですので、「そんな当たり前の事は分かっている」…と、おざなりにせず、一つ一つのチェック項目を、しっかりとなぞってみて下さい。

もちろん、応募書類の書き方から面接の受け方まで、転職エージェントのコンサルタントに頼めば、こと濃やかに指導してくれるはずです。しかし、すべての転職エージェントが、この「当たり前」を充分に出来ている訳ではないのが、要注意ポイントなのです。

私、野村龍一が、医師転職コンサルタントの立場から、口を酸っぱくして言っている事があります。それは…良い転職は、転職エージェント選択時に決まっている…という事実です。

ドクターがより良い転職を実現できるよう、当研究所がお勧めする優良なエージェントへのコンタクトを、心からお勧めします。

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