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転換期限まであと2年足らず

病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限

■ 記事作成日 2016/6/8 ■ 最終更新日 2017/12/6

つい先日、厚生労働省の社会保障審議会の「療養病床の在り方等に関する特別部会」が行われました。この会議の中では、介護療養病床と25対1医療療養病床が、2017年度末以降にどう変わっていくのか、という課題への議論が行われています。

 

今回は、近い将来、日本の病床はどう変わっていくのかという視点で、今後の医師の需要について考えてみたいと思います。


課題となっている病床の区分について

病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限

 

病床の機能や重症度をあらすとき、看護師の配置基準を元とした名称で呼ぶことがあります。今回、課題として取り上げられている介護療養病床と25:1医療療養病床の違いは、上記図の通りです。

 

※上記図1 医療療養病床(20対1・25対1)と介護療養病床の現状
(厚生労働省 第2回療養病床の在り方等に関する検討会 配布資料より抜粋)

 

ではどんな患者さんがそれぞれの病床にはいるのでしょうか。
ここには、さらに2つの図を組み合わせて考える必要があります。

 

病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限

 

※図2 病床の違いと医療区分の関係
(厚生労働省 第2回療養病床の在り方等に関する検討会 配布資料、療養病棟入院基本料 医療区分より作図)

 

つまり、医師の配置区分は同じでも、より「医師及び看護師による常時監視・管理を実施している状態」の患者さんが多いところは、看護師を多めに配置する(20:1)必要がある、ということです。

 

ここまでは、当然のことといえそうですが、ここから先は今後の病床機能の在り方という点で、少し状況が変わってきます。

 

25:1医療療養病床と介護療養病床をあわせて3つに分解

 

厚生労働省の「療養病床の在り方等に関する特別部会」では、現在の「医療療養病床25:1」と、「介護療養病床」の2つの区分を、今後3つの区分に編成しなおす、という案が出ています。

 

病床機能の転換は進むのか?迫る転換期限

 

ここでポイントとなるのが、やはり今後の国民的ニーズである「介護」の部分です。医療療養病用20:1では、再編後も介護ニーズは問わないとありますので、どちらかというと医療としての役割が強くなります。

 

一方の医療療養病床25:1は、高い介護ニーズに対応するという、介護としての役割を強化させるようです。

 

実際の病院再編はどうなるのか

 

今回、「療養病床の在り方等に関する特別部会」がスタートした背景には、介護療養病床は2018年3月で廃止することになっているため、医療療養や老健施設への転換が求められている、ということがあります。

 

でも、1つの医療機関が大きくその機能を転換させるのって、容易ではありませんよね。

 

実際、全日本病院協会が行っている「医療療養病床・介護療養病床に関するアンケート」調査の中間報告(2015年11月現在)によると、当該病棟をもつ病院の72.2%が介護療養と25対1の廃止に反対を表明しているそうです。

 

このアンケート調査ではさらに「平成30年(2018年)4月現在の病床予測」として、医療療養病床25:1をもつ医療機関の今後を聞いています。結果として、もっとも多かった回答は「20:1の医療療養病床への転換を図る」というものでした(回答数は、もっとも多い98の医療機関です)。次に多かったのが「回復期リハビリテーション病床への転換」で14医療機関、3番目が「未定」の11医療機関となっています。

 

25:1医療療養病床と、20:1医療療養病床では、必要とされる医師の数は同じですから、医師の視点でみると、大きな違いはないのかもしれません。しかし、看護師の必要数が確保できなかった場合、あるいは病床機能の転換が難しかった場合は、必ずしも「20:1医療療養病床」として生き残れるとは限りません。

 

逆に、これらが滞りなく進んだとしても、そこで求められる医師像が変わる可能性があります。小さな変化になるのか、大きく変わってしまうのか、先が見えない状況にある医療機関は、多いのではないでしょうか。

 

世の中のニーズとのズレ?

 

今後、要介護者人口が急増すると考えられている日本では、確かに「介護へシフト病床」や、「リハビリテーション病床」への転換が求められているのでしょう。しかし、介護職員は今、全国的な人手不足です。

 

そればかりか「リハビリテーション医の全国的な不足」や「必要医師数と必要求人医師数のギャップ」など、リハビリテーション科の医師確保に対する大きな課題もありそうです。

 

確かに、今後の日本におけるニーズを考えると、「介護や回復期にポイントをおいた機能転換」は必要なのかもしれませんが、「簡単にいうなよ…」という声が、日本のあちらこちらで聞こえているのではないでしょうか。

 

 

【参考資料】

 

厚生労働省 第1回社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会
資料1 「療養病床の在り方等に関する検討会」における整理案の概要等について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000126217.pdf

 

同上 資料2-1 療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて~サービス提供体制の新たな選択肢の整理案について~
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000126218.pdf

 

厚生労働省 診調組 慢-1 療養病棟入院基本料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001e933-att/2r9852000001e9i6.pdf

 

全日本病院協会 全日病ニュース
25対1の8割弱、介護療養の6割が医療療養20対1への転換を予測
http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20151101/news12.html

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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