面談対策:医師転職の専門医・専門科別セールスポイント考

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野村龍一

野村龍一

某医師紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

先生のセールスポイントは何ですか?

ドクターが転職を真剣に考えているとしましょう。「あなたの医師としてのセールスポイントは何ですか?」…と問われた場合、明確なポイントを示す事ができますか?

殆どのドクターは、転職エージェントの初期面接の際に、この問いに答えられずにいます。漠然とイメージしている場合は多いものの、自身をプレゼンテーションするという領域まで行きついている医師は、ほぼ居ません。

しかしながら、転職シーンにおいて、セールスポイントという切口は、非常に重要です。匂わない花には虫が飛んでこないのと同じで、ドクター自身が何らかの発信をしなければ、誰かが、何かが、自発的にアプローチしてくれる筈はありません。

セールスポイントとは、パーソナルアイデンティティとも言い換える事ができます。

・ドクターがどんな医師でありたいのか?
・転職でどんな方向性に進みたいのか?
・周囲にどんな評価を受けたいのか?

そういう意思を明確にし、自他ともに認める状態を作り上げる事が重要です。

「あなたの医師としてのセールスポイントは何ですか?」

その問いは、過去と未来を繋げる重要なジャンクションとして位置付けられます。ドクターがその問いに明快に簡潔に答え、続けてその答えを納得させられるための背景を、淀みなく雄弁に答えられたら…ドクターの転職は、99.9%以上の確率で、成功の道を辿ると言っても過言ではありません。

医師の基本的なセールスポイント「専門医」

ドクターの医業のセールスポイントは、やはり専門医資格がベースであり、主軸と成ります。専門医資格の状況について、考えてみる事にしましょう。

学会認定医・専門医・指導医の資格

医師のスキルを明確に証明する資格の基本中の基本は、やはり各学会がそれぞれ認定している専門医の資格です。一定の分野で必要な症例数などに対応し、必要な論文を書き上げ、一定の評価を得た医師は、「認定医」や「専門医」として認められます。さらに、他の医師を指導できるほどの卓越したノウハウや指導能力を持つ医師は、「指導医」として認められます。

社団法人日本専門医制評価認定機構によると、日本には89の学会組織があり、うち専門医広告が可能な学会が55組織存在していると言われています。そして、各学会の専門医の総計は、298,880人に上ります。キャリアを積んできた医師の場合、多くの方が「専門医」を取得していると考えられます。

日本に於ける医師の数は、厚生労働省によると約30万人とされています。日本医師会による登録医師数が約17万人なので、厚生労働省のデータには、医師として稼働をしていない老齢者や、既に死亡している方も相当数含まれていると推測されます。現在就業中の医師の多くは、何らかの専門医を持っていて、複数の専門医を取得していたり、専門医までいかずとも、支柱となる専門医に加えて複数の認定医を持っている可能性が高いと考えられます。

このように、多くの医師が各分野でスペシャリティと認められていて、複数の認定医や専門医を保持しているにも関わらず、転職シーンでのPRやキャリア設計に、自身の最たる専門しか材料にしないドクターが非常に多ようです。

ドクターにしてみれば、「一応メインの専門医の他に、もう一つ専門医を取得しているけれど、自分のこんなスキルでは、まだまだ公言できない。」…という、考えのようですが、複数の専門医や認定医資格を組み合わせてPRする事で、転職シーンで説得力を持つPRができたり、転科がスムーズに行えたりするものです。

医師が専門性を問われると、その分野のトップランナーでなければ声高にPRできないと考えがちのようですが、そんな謙遜は転職活動の邪魔です。転職活動では、いかに堂々と、自分に自信を持ってPRできるか?…が、大切になりますので、既に学会から認定医・専門医の資格を与えられている場合、その分野のスペシャリストとして存分にその資格を活用して下さい。

病院側が専門医に期待すること

同じ診療科目の医師でも、そのスキル・キャリア・知識・対処能力などは様々で、個人により大きな差があります。常に学会主催の勉強会に参加したり、研究論文を発表するなど、常に新しい技術や知識を取り入れている医師もいれば、難しい症例は他に任せて、かかりつけ医として地域医療を担っている医師もいます。
有名な論文を発表している著名医師でも、臨床医としてのコミュニケーションスキルが欠けている様なケースもあります。

実際の所、一緒に働いて、みなければその人の臨床医スキルを量る事は難しいものです。

そんな時、一定の指標にされるのが、認定医・専門医・指導医などの資格です。詳細は分からずとも、ある程度のレベルを推しはかる事は可能です。そしてそれは、医業にさほど詳しくない経営側の理事や患者などにも分かりやすく、どんな病医院でも歓迎されるものです。

専門医の資格持っている医師は、雇用側の病院にとって非常に都合が良いのです。

2004年から、それまで認められなかった標榜が認められ、専門医がいる事自体を病院のPRに用いる事ができるようになりました。(認定医では不可)患者が医者を選ぶ時代、「この病院の先生は専門医かどうか?」…を調べて、遠方から駆け付けるケースも少なくありません。

また、専門医や指導医が一定数常勤している事で、学会指定の研修施設になる事もでき、それが新たな医師を雇用するための宣伝材料にもなります。

そして専門医本人には、即戦力として勤務してもらえる事がほぼ保証されており、教育指導が不要なばかりか、在職医に好影響を与えて切磋琢磨する良い風にもなると考えられます。

さらに将来的には、専門医の診療は、専門外医の診療と一線を画し、診療報酬点数が上乗せされる方向性の検討も始まっています。(ご存知の通り、現在は、専門医でもそれ以外の医師でも同じ診療報酬点数です。)

専門医は医療機関がリクルーティングしたい分かり易いターゲットであります。また、これから専門医資格を取りたい医師も、特定の医療機関の方向性に合えば、非常に歓迎されると言えます。

専門医が転職先に期待できること

逆に、専門医として転職先の医療機関に期待できる事もあります。転職活動で優遇される事はもちろん、契約条件交渉において、給与面や勤務体制面などで優遇される事が一般的です。

また、当該専門医がその病医院における当該診療科のリーダー的存在に成り易い事から、そのドクターが所望する先進機器などの購入導入機会を得られるケースも目立ちます。

当該医療機関での当該診療科において、中心的役割を果たす訳ですから、そのホームページ掲載内容なども、専門医の意図で注力すべき内容に合わせて、PRすべき内容を選択する事ができるでしょう。

当該専門医が実績を積みたい症例を優先的に任せられたり、オペの実績を積めるでしょうし、基本的な専門医資格に加えて新たな関連専門医の認定を受けるなど、スキルアップやキャリアアップを図り易い受皿があると考えられます。

将来の開業を視野に入れている医師には尚更、その地固めとしてより良い環境での就業が期待できると考えられます。

専門医別のニーズと対策~外科医編~

それでは、専門科別の市場ニーズと、それに対応するPRポイントなどを考えてみましょう。先ずは外科分野です。

「外科専門医」の場合

慢性的な医師不足が叫ばれて久しいですが、外科医の場合はその傾向がより顕著であるのが明白です。その激務ぶりは言わずと知れた所で、命の最前線で働く重圧も付いて回ります。どの病院に勤務しても、その忙しさはさほど変わりません。転職でQOMLが一発解決される事は無さそうです。

そんな環境の中で、ドクター自身をPRし、良い就業環境を勝ち取っていくためには、どんなセールスポイントが必要なのでしょうか?

外科専門医はいわば、外科医の基本中の基本の資格です。日本全国の基本領域専門医の中で、最も取得者が多いのが、外科専門医です。(21,275名/平成25年度:社団法人日本専門医制・評価認定機構)外科専門医というだけで、無条件に転職に有利に働く訳ではなさそうです。しかしながら、基本の資格であるために、これが無ければ始まりません。転職に最低限必要な専門医資格であると認識し、戦略を立てる事が重要です。

・関連外科専門医というポイント

外科専門医と併せて、ニーズの高い関連外科専門医資格(たとえば、消化器外科・心臓血管外科・脳神経外科・乳腺外科…etc.)などを取得していると、一気に市場価値が高まります。

現在それらを併せ持っていない場合でも、認定医の状態であったり、今後関連外科専門医資格を取得しようと明快なキャリアプランを立てている場合などは、より優遇されるケースが多いようです。ドクター自身がどう在りたいか?…を、関連外科専門医という視点で考えてみる事が、一つのポイントになりそうです。

・オペ数や症例数という経験ポイント

外科専門医は、取得者が非常に多い基本的資格なだけに、外科専門医一本でやってきたドクターは、それだけではセールスポイントに成り得ません。ただ、そこで諦める必要は無いのです。特定の症例の取り扱い実績やオペ数、幅広い症例への対峙実績など、ドクター自身が積み上げてきたキャリアをひも解く事で、セールスポイントが炙り出てきます。

この時、ご自身のキャリアを鑑みて、外科医としての特定分野スペシャリスト医としてPRするのか、広域分野に対応可能なゼネラリスト医としてPRするのかで、その方向性が大きく変わります。スペシャリスト・ゼネラリストのどちらにしても、PR内容と合致する医療機関はあります。ドクター自身がどう在ったか、そしてこれからそう在りたいかという答えのために、キャリアの棚卸をすれば良いという事なのです。

・専門医取得年数というポイント

30代前半の若い医師の場合、外科医として一人前とは言い難い状態です。そんな若造が、やれ激務が嫌だとか、年収アップを図りたいなどと言っていたって、これといったセールスポイントが無ければ、医者不足の現場でない限り、転職先は無いのではないか?…という心配をよく耳にします。そんな時は、「最短で専門医を取得した」という点が、大きな訴求力になります。

キャリアが無いのであれば、将来性を売りにするのです。最短で基本の外科専門医を取得した優秀な人材が、転職先の病院で研鑽したいと希望している…というストーリーは、充分なPR力を持つのです。その時、関連外科専門医の取得を主眼に置いている…などの将来像を具体的に描ければ、より説得力のあるセールスポイントとなるでしょう。

「消化器外科専門医」の場合

消火器外科という診療科目は、外科医の中でも特に医者不足が深刻化している現場です。ですから、選り好みをしなければ、転職先は往々にして見つかり易いものです。消化器科外科専門医は、転職に有利な資格の一つだと言えるでしょう。

・内視鏡のスキル

そんな消火器外科専門医の中でも、内視鏡スキルがある医師は、非常に重宝されます。胃がんや大腸がんの患者が増える今、消化器外科としての内視鏡のスキルをセールスポイントにできれば、より強いPR材料になる事間違いなしです。

「心臓血管外科専門医」の場合

心臓血管外科という診療科目は、文字通り命の砦となる現場です。精神的肉体的に非常にハードな職務で、当直やオンコールや、救命救急としての緊急オペもこなさなければなりません。タフさが求められ、訴訟リスクも高い心臓血管外科は、常に優秀な医者不足が続いています。

街場の病院にはあまり開設されていない診療科であるため、その求人は、大学病院や地域の中核病院などの大病院が殆どであり、心臓血管外科専門医の資格は非常に重宝されるものの、それほど選り取り見取りで求人がある訳ではありません。

・経験豊富なベテランというポイント

ベテラン医師が非常に重宝される診療科目です。大病院のピラミッドの上の方に位置する人材が殆どですから、転職を考える事も少ないのかもしれませんが、オペ数や症例数の実績は、非常に大きな訴求力になります。

・タフで将来有望な若手というポイント

ベテラン医師が重宝される一方で、若手医師の育成も重点項目と目されている分野です。キャリアが無ければ、将来性を徹底的に訴求するのです。その際、タフさというのは、非常に重要なポイントです。

心臓血管外科専門医の場合、ベテランはベテラン、若さは若さという、二枚舌のセールスポイントがまかり通る世界です。重要な事は、いまドクターが持つ資質を、自信たっぷりに強く発信する事です。

「呼吸器外科専門医」の場合

呼吸器外科専門医は、その資格を保有しているだけで転職に有利に働く専門医の一つです。肺がんや胚腫瘍や気胸など、ニーズの高い疾病に対応する診療科です。全国的に医師不足が顕著な診療科ですから、転職の際も売り手市場になるでしょう。しかし問題は、一つの医療区で、それほど多くの診療科が存在していない科目という事です。大都市圏でもない限り、よりよい条件を求めるならば、県外への転職も視野に入れておく方が無難です。

・チーム医療というポイント

呼吸器外科が診療科目に挙げられている医療機関の多くは大病院です。そのため、自身の医業スキルに加えて、チーム医療としての考え方やケーススタディなどを添えると、好印象なセールスポイントとなるでしょう。

・指導というポイント

キャリアのある呼吸器外科専門医が、指導医的立場で転職を望んだり、若手医師が、上級医師からの指導を受けたいと転職を希望するような場合、好作用する事が多いようです。

「脳神経外科専門医」の場合

脳神経外科は、高いオペスキルが要求される、医師の中でも注目度の高い診療科です。脳・脊髄・末梢神経・それらと関連する筋肉や血管に至るまでの関連手術をするため、非常にニーズの高いもので、専門医資格を持っているだけで重宝され、転職にも非常に有利に働くと言えるでしょう。

求人も非常に多く、大学病院や大病院、脳神経外科専門病院でも常に人手不足です。緊急性が高く、命と向き合う現場での職務は、激務と言う言葉では言い尽くせない程です。そのため、ベテラン・若手共に敬遠されがちで、外科の中でも最も医師不足が深刻な診療科であると言えるでしょう。それゆえ、使命感に燃える医師一人一人の肩に、重い重圧がかかっているのが現実です。

・高い志を持つ事が大切

脳神経外科専門医であったり、その取得を目指そうとしているドクターには、必ずや転職の門戸が開ける診療科です。後期研修医を募集しているところも少なくありません。オペ数や症例数などの実績はもちろん、「高い志」という目に見えないポイントも、年収アップなどのセールスポイントになります。

「乳腺専門医」の場合

乳腺外科での活躍が期待される乳腺専門医は、乳房の疾病全般を診る診療科ですが、その大多数は乳がんと向き合うものになります。乳がんの患者が増え続けている今、専門的な乳腺外科を新たに立ち上げる病院も増えており、ニーズの高い専門医資格の一つです。

・女性であること

乳房は女性にとって、自身の誇りや生き方、アイデンティティに関わる重要なものです。「男性医師には診てもらいたくない」という患者も非常に多く、医師が女性である事は、それだけでセールスポイントの一つとなります。

・温存方針や乳房再建への知見

乳がんの治療法は、医師や病院によってその方針が全く異なります。転移リスクを考えて全摘を勧める病院もあれば、できるだけ温存しようと努める病院もあります。また、全摘した場合でも、形成外科との連携による乳房再建に尽力する事が前提の病院もあります。

すなわち、それぞれの病院に合った方針をドクターが打ち出せ、その領域への広い見識や経験があれば、大きなセールスポイントになるという訳です。最近では、医療技術の進歩などにより温存方針の病院が増え、乳房再建にも力を入れている所が多い様です。

・共感力やカウンセリング力

他の疾病とは異なり、非常にセンシティブな患者の内面に向き合う必要がある疾病です。共感力やカウンセリング力が診療を良い方向性に向かわせるため、カウンセリング等の資格や、セミナー受講経験なども、大きなセールスポイントとなります。

専門医別のニーズと対策~内科編~

それでは、内科分野における、市場ニーズと、それに対応するPRポイントなどを考えてみましょう。

「総合内科専門医」の場合

総合内科専門医は、基本領域専門医の中で、外科専門医・整形外科専門医に次いで専門医取得者が多く、実に15,125名の医師がその資格を取得しています。(平成25年度:社団法人日本専門医制・評価認定機構)

内科分野の基本中の基本という資格であるため、それを取得しているだけで、転職が有利になるという事はなさそうです。外科の基本である外科専門医の市場と同じく、他の関連専門医資格(たとえば、消化器病専門医、循環器病専門医、糖尿病専門医など)と併せ持つ事で、セールスパワーを持つ専門医資格となります。

しかしながら、基本の専門医であるがため、その求人数が多いのも事実です。特定の疾病への知見があれば、そのキャリアをPRポイントにします。若手医師ならば、“最短で専門医資格を取得できた”というような切口で将来性をPRする事は可能です。

また、将来の道を定め、総合内科専門医を基軸に関連専門医資格取得を目指すなどの目的を掲げた転職は、各病医院に受入れられ易いと言えるでしょう。

「循環器病専門医」の場合

高齢者社会などを背景に、循環器病専門医のニーズは増えて行っています。心筋梗塞・高血圧・動脈硬化・心不全・不整脈など、循環器系の疾病を患う人は増加傾向にあるのです。一般総合内科より、求人の年収設定が高めなのも特徴です。
全国的に求人が多い事から、マッチングや条件交渉次第では、ドクターの意向に沿った職場は見つかるでしょう。

・ゼネラリストという切口

循環器系の疾病は、非常に多岐に渡ります。そこで、循環器系全般の診療に対応できるという医師は、ゼネラリストとして全国各地の病院…特に地方や小規模病院において、重宝されるでしょう。

・スペシャリストという切口

循環器系の疾病の診療は、それぞれの分野で専門性が問われるものです。そのため、特定の疾病のスペシャリストとして語れる症例取扱い数や、論文執筆の経験などがあれば、その特定疾病に強いと言われている病院で、非常に重宝されるでしょう。

循環器病専門医は、ゼネラリストでも、スペシャリストでも、それぞれ異なるニーズがあります。ドクターが転職される場合、ご自身のキャリアや方向性を鑑み、どちらを打ち出しても吉と出るでしょう。問題は、ドクターがどちらの方向性なのか?…を、転職活動時に明確にしておく事です。

「呼吸器専門医」の場合

呼吸器内科で働く呼吸器専門医の資格所有者は全国的に少なく、呼吸器内科での転職を目指す人には、非常に重宝する資格だと言えます。また、比較的他の領域に応用が利く診療科であるため、この道での転職はもちろん、幅広い求人に対応できそうです。

・柔軟な対応と適応能力

呼吸器専門医は潰しの利く=他の診療科目にも応用できる専科です。転科を含めた転職可能というスタンスであれば、それだけで条件の良い求人に出逢える確率が高まります。

・一般総合内科専門医の資格

呼吸器内科を診療科目として掲げている病院はそれほど多くなく、地方の病院などでは、一般内科などで、呼吸器に強いというようなPRをしたい病院ニーズもあります。そのため、一般総合内科専門医と呼吸器専門医の資格を併せ持っていると、大きなセールスポイントとして機能するでしょう。

「消化器病専門医」の場合

消化器病専門医は、がん患者の増加などから、非常にニーズの高い、消化器科に於いて重宝される資格です。胃腸科・肝臓科・肝胆膵内科・内視鏡科などの診療科目を掲げているところでも、転職活動に有利に働きます。求人数も多く、街場のクリニックから、大病院の消化器センターまで、幅広い職場環境があります。マッチング次第では、より良い条件で働く事ができるでしょう。

・消化器内視鏡専門医の資格

消化器病の診療に、今や内視鏡は欠かせません。消化器専門医と共に、消化器内視鏡専門医の資格を有していると、転職活動に非常に有利なセールスポイントとなります。

・学会認定施設での勤務実績

消化器系の疾病は、各々の疾病で深い専門知識が必要なものです。そのため、もしもドクターが学会認定施設での勤務経験があれば、それはそのままセールスポイントとなります。多くの研修を受け、幅広い症例知識があると見なされるのです。

「神経内科専門医」の場合

脳・脊髄・神経・筋肉などの疾病…めまいや痺れなどを訴える患者に対応するための脳神経内科は、それほど多くの専門医がいる訳ではありません。よって、神経内科を掲げている病院には、非常に高いニーズがあると言えます。また、高齢者などにその疾病が多い事から、これからより高いニーズが顕在化するでしょう。

・在宅診療可というスタンス

高齢者に多い疾病である事から、介護保険制度などと連携した、在宅医療分野でのニーズが高い専科です。在宅診療も可というスタンスがあるだけで、これから構造改革がされていく、多くの病院で重宝されるでしょう。

・リハビリテーション科専門医の資格

リハビリを含めた長期に渡る治療や処置が必要な疾病が多いため、リハビリテーション分野に明るかったり、リハビリテーション科専門医資格を併せ持つと、非常に有利なセールスポイントとなります。リハビリテーション科の場合、大病院には必ず設置されてあるほか、緊急性はない事から、QOMLを第一に考えている医師には、非常に好適な転職を可能とするでしょう。

「腎臓専門医」の場合

腎臓専門医は、その専門性から、持っているだけで転職に有利に働く資格の一つと言えます。専門医の数が少ない上、近年急速に慢性腎臓疾患の患者数が増えている事から、そのニーズは高まる一方です。

・透析専門医の資格

腎不全などで透析が不可欠な患者さんに対し、医師・看護師・臨床工学技士・薬剤師・栄養士・ソーシャルワーカーなど多くの職種の人々がチームとなり、透析患者に最善の治療とケアを提供しますが、この透析チームを統括する責任者が透析専門医です。

腎臓専門医の資格と併せ持つ事で、より腎臓医療への専門性が高くなります。業務が細分化された都心の大病院ならば、透析専門医が専門家としているものの、地方の中核病院や一般的な病院などでは、万全な体制が整っているとは言えません。

そんな時、透析専門医でもある腎臓専門医というキャリアがあれば、転職上大きなセールスポイントとなり、待遇面での条件交渉もし易くなります。

・検診マンモグラフィ読影医師の資格

腎臓専門医が、関連検診で利用するマンモグラフィの読影医師資格を保有していると、より有利な転職のためのセールスポイントとなります。腎臓専門医として転職を希望している方で、未だ取得していない方は、転職前に取得される事をお勧めします。

「糖尿病専門医」の場合

先天的糖尿病のⅠ型に加え、生活習慣病が起因となるⅡ型の糖尿病患者が急増しています。糖尿病専門医の資格は、保有しているだけで転職市場でセールスポイントになるほど、ニーズの高い資格です。

入職前の条件交渉にも、非常に有利に働くのです。厚生労働省の「2013年国民健康・栄養調査」によると、日本の糖尿病有病者は、男性で16.2%、女性で9.6%であり、圧倒的な増加傾向を見せています。

定期的な検査やケアが必須で、悪化すれば失明や腎不全や肝不全、四肢の壊死などの様々な合併症を引き起こすものであるため、全ての有病者は定期的な通院や入院が不可欠です。しかしながら、糖尿病担当医の数は非常に少ないのが現実です。

・コミュニケーション力

糖尿病は、様々な合併症を引き起こす、深刻な病です。そのため、様々な診療科のドクターと連携を図り、様々な症状の可能性を探りながらの治療が求められます。また、入院が不必要な段階の患者でも、週に1回、月に1回というペースでの通院検査や指導などが必要な病気で、その改善には、食事療法や運動療法など、患者本人の自助努力が不可欠です。

そのため糖尿病専門医には、高いコミュニケーション力が求められ、各専門医の協力を仰いだり、患者の信頼を得て、その気にさせる(自己管理を徹底させる)力が必要なのです。

専門医別のニーズと対策~その他の診療科編~

それでは、外科・内科以外のその他の診療科における、専門科別の市場ニーズと、それに対応するPRポイントなどを考えてみましょう。

「眼科専門医」の場合

眼科にもオペはあるものの、緊急性の低いケースが多く、当直やオンコールや救急対応の頻度が少ない事から、QOMLの高い職務として人気があります。しかし、医師側の転職ニーズの割には求人数が少なく、非常に競争率の高い市場となっています。

・手術数や手術時間

面接では、白内障や緑内障のオペ数や、オペ平均時間などを尋ねられる事があります。この分野でのキャリアがある医師は、少ない求人数の眼科においても、即戦力で厚遇されます。

・若手医師の専門医取得意思

眼科専門医ではない場合、眼科専門医取得を前提とした若手医師の熱意が必要となります。泥臭い言葉ですが、人気の高い診療科ですので、仕方ありません。眼科専門医が取得できる施設に勤務している若手医師なら、転職は、専門医取得後にした方が賢明です。専門医でない医師が眼科に転職しようとする場合、長期的継続的に機会を伺う必要があります。

・コンタクト対応

コンタクト処方のための検査などを担当されたい医師は、「感じの良さ」「ルックス力」なども訴求ポイントになります。おしゃれな眼鏡店内に位置する店舗などの場合、この傾向が強くなります。

「耳鼻咽喉科専門医」の場合

耳鼻咽喉科の専門医の場合、それほど多くの求職者がある訳でも、求人がある訳でもなく、横ばいの安定市場が続いています。需給バランスの良い診療科のため、医療機関によって驚くほどの待遇差がある事は少なく、性急な転職活動よりも、じっくりと進めていく方向の方が無難なようです。

・患者層

これまで診てきた患者層は、小児が多いのか、高齢者が多いのかなど、患者層によるマッチングが転職のセールスポイントになる事があります。耳鼻咽喉科は、その立地条件や施設の方針により、患者層に特色が出る事が多いのです。外来をメインとした転職がしたい場合、転職先選定の重要な手がかりになるでしょう。

・症例数や診療内容の内訳

オペを積極的に担当したい場合、レーザー治療の実績や、疾病ごとの症例数などの情報を、整理しておく必要があります。

「皮膚科専門医」の場合

皮膚科や美容皮膚科は、都市部を中心に、非常に人気の高い診療科目となっています。医師不足が叫ばれる中、皮膚科に関する募集は供給過多に近い状況です。そんな市場での転職活動ですから、皮膚科専門医の資格は非常に重要な役割を果たします。

・若さとやる気

皮膚科専門医を未取得のドクターは、若さとやる気という、泥臭いセールスポイントを訴求するしかありませんが、その切口は、皮膚科において非常に歓迎される傾向にあります。街場のクリニックでも、専門医を取得できる認定施設もあり、これから皮膚科に転科したい医師にも道は拓けます。

・具体的な手技

美容分野との関連も強い診療科であるため、具体的にどのような処置ができるのか?という点も訴求力になります。専門医でなくとも、ボトックスなどの注入系の実績、レーザー治療実績、ピーリングなどの実績がPRできれば、歓迎されます。

・美容力やルックス力

美容皮膚科でなくとも、美容系の保険外診療を保険診療と共に行っている皮膚科も非常に多いため、男女共に、医師本人に美容知識があり、ルックス力がある事がある程度期待されています。

・当直可、病棟管理可

皮膚科医への転職を希望する多くの医師は、当直免除などのQOMLの高さを理由にしています。そのため、重篤な入院患者を扱う皮膚科では、専門医不足の状態が見られます。皮膚科において当直可、病棟管理可であれば、大きなセールスポイントになります。

「産婦人科専門医」の場合

産婦人科は、その激務ぶりや訴訟リスクなどから、深刻な医師不足が続いている診療科です。そのため転職市場でも医師の売り手市場であり、大病院から街場のクリニックまで、実に様々な求人が出ています。従って、専門医を取得している医師は、それだけで優遇されるようになります。とにかく収入アップを目指すドクターは産科、QOMLを重視するドクターは婦人科を選べば、望み通りの転職ができるでしょう。

・麻酔科専門医

産科においては、帝王切開だけではなく、無痛分娩を行う施設も増えてきています。それは、大学病院や中核病院に限らず、街場のクリニックでの出産でもニーズが高い事です。そのため、麻酔科専門医の資格を所有していると、鬼に金棒というくらいの強いセールスポイントになります。

・女性であること

患者は100%女性であり、デリケートな部分の内診などがある事からも、女性医師に診てもらいたいというニーズが非常に高い診療科です。よって、女性医師が産婦人科への転職を希望する場合、その時点で専門医でなくとも、採用されるケースが多いと言えます。

「小児科専門医」の場合

小児科は、産婦人科と並ぶ医師不足の最前線のような診療科であり、大病院から街場のクリニックまで、実に様々な求人が出ています。特に救急対応の総合病院や、新生児医療、特定の地方の医療区などで、非常にニーズが高いようです。

・当直可、オンコール可

小児科医が一定のオンコールや当直を受け入れる姿勢を見せれば、転職先はすぐに見つかります。引く手数多の状況ですから、給与面でも厚遇されやすく、条件交渉も優位に進むでしょう。

・エリア制限のない転職

小児科医は、地方の過疎地域や山間地域など、特定の医療区において特に深刻な医師不足である状況です。エリア制限を外すだけで、クリニックにおける当直のない働き方の場合でも、非常に好条件での転職先が見つかる事も珍しくありません。

・これから専門医を取得したい

小児科は、医師不足が顕著な診療科ですから、専門医未取得のドクターにも大きなニーズがあります。専門医取得可能な求人を探せば、道は拓けていくでしょう。ただ、比較的多忙な職場に入職する事は、覚悟しなければなりません。

専門医というキャリアデザイン

日本の専門医制度は、専門医資格を有していても、その標榜(広告・販促時の表示)が可能となるだけで、診療報酬点数が高くなる訳ではありません。

しかしながら、専門医を取得していたり、複数の専門医を併せ持っていたり、専門医を取得しようとしている事は、ドクター自身を語る上で、大きなセールスポイントになります。転職市場においてライバルに競り勝ったり、転職コンサルタントによる条件交渉が優位に進み、給与面や勤務体制や福利厚生といった側面で、非常に厚遇される材料となるのです。

どの分野に専門性を持っているか?…は、ドクター自身がどんな医師であり、どんな医療を提供したいか?という、分かり易いバックグラウンドになり、人となりを見てもらう以前の段階で、ドクターを判断する基本指針となるのです。

私、野村龍一が、医師転職コンサルタントの立場から、口を酸っぱくして言っている事があります。それは…良い転職は、転職エージェント選択時に決まっている…という事実です。

特に、専門医資格を切り口とした条件交渉は、専門的な知見とディレクションが必要です。ドクターがより良い転職を実現できるよう、当研究所がお勧めする優良なエージェントへのコンタクトを、心からお勧めします。

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