内科医師と転職の状況
その取扱分野の広さから、内科の医師の募集状況は、地方、首都圏、関西圏等にこだわらず、常に高い状況にとどまっております。内科医師が独立開業する場合は専門性よりも総合性(一般内科、総合内科)を売りにして開業することがほとんどですが、転職の場合は専門性を重要視した形での医師転職活動となります。
内科医師の専門性が転職に及ぼす影響
御存知の通り、内科医師の専門は割と多岐にわたるので、転職というキーワードを持っても全てを一括りに論じることは難しいです。より詳細をリサーチすれば、ニーズが高い専門内科もあれば、相対的にそれほどニーズが高くない(医師が足りている)専門内科も有りますが、ここでは簡易的に代表的な専門内科の転職状況について触れてみようと思います。
消化器内科(胃腸内科)
内科医師としては最も人材ニーズが高いと言える診療科目です。常勤、非常勤、アルバイトどれをとっても求人ニーズがあります。給与も高く、年収アップを目指した転職にはもってこでしょう。転職は比較的用意な代わりに、就労先での勤務状況は激務を極める可能性があります。よって、就労条件などをよく見定めた上での転職活動を行う必要があるでしょう。
開業率も高いので、開業前の先生が実地調査と修行を兼ねて転職をするという戦略も有りかと思います。近年の大腸がん患者増加により、CFの検査と上部・下部内視鏡技術、ERCP、PTCDの経験は転職に有利に働きます。ご自身の経験(検査数、治療数)をまとめあげておけば、面接や書類審査で有利に働くでしょう。
呼吸器内科
呼吸器内科の医師転職状況を一言で言うと、都市部に求人ニーズが集中しがちということです。地方エリアではニーズが極端に小さい可能性が大きいので、転職希望の呼吸器内科医師の方は、ご自身のライフスタイルや将来住みたいエリアなどを重要視した、戦略的転職を考える必要があります。
小児喘息に関して経験値が高い医師の場合、求人ニーズは更に強まる傾向があります。一般総合病院では10年目以上のキャリアを持つ医師が重要視されると言われますが、経験に関する期待値が高いため、呼吸器以外の内科疾患に関する知識と診療を求められるケースもでています。逆に言えば、そういう経験がある医師は転職市場で有利に動けるということです。
循環器内科
循環器内科の医師転職はカテーテル治療を中心にかなり求人需要があります。勿論その分忙しい職場が多いので、ライフスタイル重視型の転職を希望する医師は勤務希望先の事前調査が大事です。職場によっては(特にCCUなど)、本当に寝る暇、食事を取る暇もない激務状態に陥ります。
内分泌内科(糖尿病内科)
人口透析専門クリニックが都市部に集中しており、都市型ライフスタイルを送りたい医師にとっては求人ニーズも高く、様々な職場を比較検討することができます。常勤、非常勤、アルバイトにかかわらず、シャント手術や血管疾患に対応できる医師の求人ニーズは大変高いです。慢性疾患の重症患者の取り扱いに慣れている医師ならば、クリニックではなく病院を選ぶといいでしょう。開業を希望する先生も多い専門なので、開業に寛容でいられる就業先であるかどうかも考慮してみてはいかがでしょうか。医師紹介会社を使うならば、最初から開業の将来ビジョンを話しておくべきです。
神経内科
高齢化社会を迎えた日本では、これからかなり有望な診療科目。求人ニーズもどんどん増えていくことは間違いないでしょう。開業の場合も有利です。より高次な専門(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、神経リハビリ等)を持つ方は常勤転職で大変に有利。そうでない方も、頭痛外来や脳ドックなど、アルバイト市場や非常勤市場ではとても高い需要が見込めます。
年収をとるかQOLを取るか
専門にもよりますが、総じて内科医は多忙な職場環境にあります。医師というより1人の人間として、あなたが今後どのような人生を送りたいのか、転職によって何を得たいのか(年収アップなのか?自身のライフスタイルとQOL確率なのか?)をはっきりさせた上で、緻密綿密な就業先調査を行ってから転職に望んで下さい。
そうでないと「結局今よりしんどい職場に移っただけだった」という、徒労感のあふれる転職結果に陥る可能性もあります。アルバイトならば収入のみ重視していればよいでしょうが、常勤医師の転職の場合は「転職失敗しちゃった」ではすみませんよね。是非注意して下さい。
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