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医師の需要が最も高い県はどこか?

■ 記事作成日 2017/4/18 ■ 最終更新日 2017/12/6

平成29年現在ではまだまだ医師不足が謳われているものの、平成36年ころには医師の「需要と供給」バランスが取れるとされています。今後は、医師も自分を積極的に売り込まなければならない時代がやってくるかもしれません。

 

しかし、見方を変えれば、「医師の需要が高い県やエリアであれば、自分を過度に売り込むことなく転職できる」という可能性も秘めています。今回は、いくつかの都道府県の医師確保対策と、必要医師数調査結果から、医師の需要が高い県やエリアはどこなのかを考えていきます。

 

病院側からみた「医師確保のための取り組み」

 

まずは、病院側が医師確保のためにどのような取り組みをしているのか、2015年に日本医師会総合政策研究機構が公表している「病院における必要医師数調査結果」のデータを元に考えてみます。

 

これによると、一番の「医師確保対策」として挙げられるのは、「勤務手当等の処遇の改善」です。多忙な医師という職業に対してそれ相当の報酬を準備することで、必要な医師を確保しようとしています。

 

次に挙げられるのが、医師事務補助の配置です。「医療事務補助」の主な役割としては、これまで医師が行ってきた書類の作成など、事務的な仕事を代行することで、これにより医師の業務負担軽減を図ります。

 

そして三番目に挙げられるのが、看護師等との業務分担の見直しによる業務負担軽減です。平成27年10月には、看護師の特定行為が認められるようになり、一部の医療行為を看護師が医師の指示なく行えるようになりました。この制度を積極的に取り入れよう、ということです。

 

 

また、これらの他にも、院内保育所の設置や短時間正規雇用等、勤務形態の導入も挙げられており、男性医師だけでなく、女性医師でも働きやすい環境づくりを目指していることが伺えます。

 

二次医療圏ごとにみた、必要医師数が多いエリアでの、“医師確保対策”は?

 

次に、都道府県を二次医療圏毎に区切り、必要求人医師数倍率が高いところを見ていきます。

 

 

秋田県 能代・山本医療圏

 

最も必要求人医師数倍率が高い二次医療圏は、秋田県の能代・山本医療圏です。このエリアは、秋田県内でも病床利用率や受療率は共に平均以下となる医療圏で、人口も秋田県内の1割未満となるエリアです。

 

秋田県では医師確保対策として、県内の若手医師の定着、県外からの医師の確保、女性医師の確保、医師を志す者への支援を行っています。

 

特に若手医師に対しては、地域循環型のキャリアシステムを導入し、大学病院と地域の病院の循環によりキャリア形成を支援し、若手医師にとって魅力ある労働環境を作り、県内への定着を目指しています。

 

岩手 二戸医療圏

 

ここは、医療提供施設数が県内の平均を下回り、医療圏内での医療完結率も県内の平均を下回っているエリアです。また、呼吸器内科医が不在、かつ、診療所への勤務医も少ない医療圏となります。

 

医師確保対策としては、県や大学の医局等と協力し、養成医師の配置や就学金制度の貸付、医療現場体験会等を実施しています。また、病院規模の医療機関が3施設しかない二戸医療圏では、県立二戸病院が中心となって研修医の確保を図っています。

 

このエリアに転職を考えるならば、常勤医師が不在である「呼吸器内科医」には、有利な転職が期待できるかもしれません。

 

静岡県志太榛原医療圏

 

このエリアは、入院患者の約57%が、他医療圏に頼っている圏域です。また診療医の相次ぐ退職により、診療体制の縮小が続いています。

 

医師の確保対策としては、地域医療再生臨時特例交付金を基に設置された地域医療支援センターを活用し、若手医師の養成などに力を入れています。また、子育て世代の中堅医師の離職防止や職場復帰を支援しています。

 

和歌山県 御坊医療圏および新宮医療圏

 

まずは御坊医療圏です。ここは県の人口のうち約6.7%が居住するエリアで、高齢化率も県の平均以上の圏域です。次は新宮医療圏ですが、こちらは県全体の約7.4%が居住するエリアですが、地理的にハンデのある土地でもあるため、医師の確保が全国的に見ても困難な地域となるようです。

 

この2つの医療圏が含まれる和歌山県の医師確保対策は主に、女性医師の支援、地域医療を担う医師の確保です。また、臨床研修指定病院が一体となって臨床研修体制の充実を図っています。

 

さらに新宮医療圏では、小児科医や産婦人科医が徐々に増えつつあるものの、医師の高齢化や若手医師の都市部への流出に伴い、医師の全体数は減少傾向が続いています。特に救急医療は

 

  • 初期(一次)救急は、休日・夜間の在宅当番医制が整備されているが、医師の高齢化により将来的には難しくなる可能性がある
  • 二次救急の指定病院は3病院あるもの、うち2病院は専門的な医療を展開することが難しく、1病院に負担が集中している

 

などの課題があるようです。

 

地域における、医師の偏在が浮き彫りに?

 

前述の内容を踏まえて、都道府県別の必要求人医師数を見ていきます。下記のグラフでは、上位5位は福井、秋田、静岡、岡山、新潟となります。しかし、二次医療圏別では、秋田、静岡は含まれるものの、福井、岡山、新潟はありません。その代わりに、二次医療圏別では、岩手、和歌山などが含まれていました。

 

 

これはなぜなのか。今回は和歌山県を例にとって考えていきます。

 

和歌山県は、県の北部に人口が集中し、県庁所在地を含む和歌山医療圏が県全体の人口の約43%を占め、医療機能も和歌山医療圏に集中しています。また和歌山県には、山村過疎地域を中心に無医地区が15か所、準無医地区が10か所あります。

 

和歌山県の保健医療計画によると「医療施設に従事する医師のうち、病院で働く医師の割合が60%程度、全国平均よりも低い。つまり、『病院勤務医の確保』が、大きな課題」となっています。和歌山県はへき地と呼ばれる地域が多く、その地域でこれまで医療を担ってきた医師は高齢化が進み、年齢や業務負担を鑑み、診療所での勤務医が多くなる傾向にあります。

 

若い医師は都市部へ流出してしまうことから、医師数が少ない上に病院で働ける医師が少ない、へき地医療を担う医師がいないなどの理由から、医療の偏在が大きな地域といえそうです。

 

和歌山県には「わかやまドクターバンク」のほかに、県が運営する「青洲医師ネット」もあり、県を挙げて常に医師募集中という状況です。

 

このように、県内都市部に人口や医療機能が集中する都道府県では、都市部に医師が集中してしまうため、県全体で見れば医師が充足しているように見えるのですが、二次医療圏毎に見ると、へき地の医師不足や病院勤務医の不足、医師の高齢化が浮き彫りになってくることがあるのです。

 

まとめ

 

 

都市部を構えつつ、へき地が存在している都道府県では、今後を見据えて特に若手の医師の需要が高くなります。へき地に近いとはいえ、救急医療を展開している医療施設が存在するエリアもあります。

 

こういった地域への転職は、医師の需要が高い環境であり、様々な分野の医療を学ぶことができるため、医師としてのスキルアップも期待できるのかもしれません。

 

 

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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