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地域医療対策協議会の開催密度は地域差が大きい

■ 記事作成日 2017/1/10 ■ 最終更新日 2017/12/6

日本で全国的に“医師不足”が叫ばれるようになってから、早10年以上。ここ数年は、国が中心となって“医学部増員”を図っており、推計では2024年(平成36年)頃には、医師の需要と供給は均衡すると考えられています。

 

一方で、地域医療の崩壊、医師偏在の問題など、医師を取り巻く環境には、喫緊の課題が山積みでもあります。
今回は、“医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会”の資料などから、医師の偏在対策と、地方自治体=都道府県との関係性を考えてみます。

 

国や地方自治体が捉える“医師の偏在”

 

現在の医療法および医療法施行規則の中では、「都道府県は、次に掲げる者の管理者その他の関係者との協議の場を設け、これらの者の協力を得て、救急医療等確保事業に係る医療従事者の確保その他当該都道府県において必要とされる医療の確保に関する事項に関し必要な施策を定め、これを公表しなければならない」と決められています。

 

このうち、次に掲げる者の管理者とは、おおむね以下のようになります。

 

  • 特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関、臨床研修指定病院
  • 診療に関する学識経験者の団体(医師会、歯科医師会)
  • 大学等
  • 社会医療法人、国立病院機構、地域医療機能推進機構
  • 地域の医療関係団体(病院団体、薬剤師会、看護協会等)
  • 関係市町村
  • 地域住民を代表する団体

 

つまり、地方自治体であるところの都道府県では、自地域の実情を鑑みた上で、医師や医療者の確保対策に向けて積極的に取り組むこと、というのが法律で決められているのです。

 

地方自治体(都道府県)が中心となり、上記の関係者とともに“地域医療対策協議会”を立ち上げ、定期あるいは不定期で協議会を実施し、医師確保対策や、修学資金制度などについて協議する必要があります。

 

しかし、この取り組み自体は2004年(平成16年)頃からスタートしていますが、実際には “地域医療対策協議会”が開催される回数、およびそこで協議される内容については、地方自治体(都道府県)によってかなりの差があるようです。

 

例えば、2013年(平成25年)4月~2016年(平成28年)8月の間に、各都道府県で、何回の“地域医療対策協議会”が行われたのかをグラフ化してみました。

 

 

およそ2年4か月間で、6回以上開催されている都道府県が19ありました。その一方でこの期間に一度も開催されなかった都道府県は、6県あったようです。

 

国の考える“医師偏在対策”とは何か

 

では、“地域医療対策協議会”では具体的に、どのような内容を検討すべき、とされているのでしょうか。概ねは以下のような内容になっているようです。

 

  • 地域医療介護総合確保基金
  • 医師確保対策について
  • 地域医療支援センターについて
  • 新たな専門医の仕組みについて
  • 修学資金制度について

 

今回は、医師の偏在対策について見ていますので、その具体例を考えてみます。

 

2016年(平成28年)6月の“医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会”の後に公表された資料によると、以下の内容について2016年末までに取りまとめを行うこととする、となっています。

 

 

これを見ると、医師の偏在対策は医学生を対象にスタートし、臨床研修、専門医と進む過程でも様々な施策が検討されることになります。ここには、厚生労働省だけではなく、文部科学省も関係してくることになります。

 

さらには、医師個人だけではなく、地域をあげての取り組み、国をあげての取り組みも必要になっている、ということが分かりますね。

 

特にICT等の技術革新に関しては、総務省が関係してくることとなるでしょう。つまり、3省あるいはそれ以上の中央省庁などが、医師の偏在という課題に取り組んでいくこととなるのです。

 

2017年から2020年にかけ、医師の転職市場はどう変わるのか

 

ところで、みなさんは2018年に何があるか、ご存知でしょうか。2018年は医療・介護ともに大変革が起こるといわれています。その理由は大きく2つあります。

 

  • 増え続ける社会保障費を本格的に抑制していく必要がある
  • 団塊の世代が75歳以上に達する2025年に向け、最後の“診療報酬改定と介護報酬改定が重なる年”

正確には、“診療報酬改定と介護報酬改定が重なる年”は2024年にもありますが、2025年の直前でもあるため、大きな変革が起こるのは2018年であるとみられています。

 

また、当サイトの別コラムで“保健医療計画からみる都道府県の姿”をお伝えしていますが、現在の第6次保健医療計画から、第7次医療計画がスタートするのも、2018年度ですから、現在、各都道府県で検討されている“医師確保対策”の具体策が、スタートする年でもあります。

 

さらに介護保険制度の改革に向けた対策も、同時にスタートしていくことにもなるのです。

 

医師として医療機関に勤務するのであれば、ある程度はこういった“その地域で必要とされる医師”に求められるスキルや、勤務環境等も、知っておく必要があるのではないでしょうか。

 

1つの医療機関に勤務していても、地域医療という観点でみれば、医師の偏在解消に向けた動きが必要となる可能性も大いにあると考えた方が良いでしょう。

 

医師の転職市場も、この時期は大きく動く可能性があります。特に地方都市やその周辺地域では、地域をあげての医師確保対策として、大きな施策を打ち出してくる可能性もあるのです。

 

特定診療科が求められる地域を勘案した転職活動が重要となる

 

医師の転職には、医療機関ごとの要望だけではなく、地域ごとの“事情”も加味して、必要な医師数が決まってきます。特に、「この診療科の医師がいなければ地域医療が崩壊する」という視点で見ると、特定の科の医師の求人が全国的に多くなることもあります。

 

一方で、働き始めてから「こんなはずでは無かった」ということも、多々あるでしょう。

 

特定の診療科が求められる地域はどこか、どのような働き方を期待されているのか、こういった背景も加味しながら、転職先を検討してみてはいかがでしょうか。

 

【参考資料】

 

平成28年6月3日医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会
医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 中間とりまとめ
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120207_6.pdf

 

第8回医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会
資料1 日本専門医機構新執行部の取り組みの現状
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120209_8.pdf

 

同上 資料2 専門医の仕組みについての提案
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000137004_1.pdf

 

同上 資料4 医師偏在対策に関する基礎資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120212_8.pdf

 

第4回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会
参考資料 3-2 地域医療対策協議会
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000065970.pdf

 

医療法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO205.html

 

医療法施行規則
https://www.google.com/calendar/render?pli=1#g%7Cmonth-3+22845+22882+22857

 

医療従事者の需給に関する検討会 第6回 医師需給分科会
参考資料2 医師偏在対策に関するこれまでのご意見等
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120211_5.pdf

 

医療従事者の需給に関する検討会 第4回 医師需給分科会
資料1 医師の需給推計について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120209.pdf

 

中央社会保険医療協議会と介護給付費分科会との打ち合わせ会 
資料1 診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rbxs-att/2r9852000001rc1a.pdf

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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